労働基準法で定められている労働時間は「1日8時間以内」「1週間40時間以内」であり、この労働時間を超えた分は残業ということになります。
この定めを超えて労働しているにも係わらず残業代を受け取っていないことを、いわゆる「サービス残業」と呼んでいます。
サービス残業は、労働基準法違反であり、違反した場合は罰則が規定されています。
労働基準監督署の指導などにより、サービス残業代を従業員に支払った場合の税務上の取扱いを見ていきたいと思います。
会社が従業員に対しサービス残業代を支払った場合、会社はその支払った事業年度の費用とすることになります。
ただし、従業員のサービス残業代の税務上の取扱いは、過年分の給与として支払う場合と一時金として支払う場合とで異なってきます。
過年分の給与として支払った場合
この場合は、支払うべき残業代が支払われたものと認められますので、本来の支給日の属する年分の給与所得として取扱われます。
会社側は、支払った残業代の該当する年分の各従業員の年末調整をやり直し、納付不足の源泉所得税を支払日の翌月10日までに納付します。
さらに、住民税の算定の基礎となる給与支払報告書を各自治体へ再提出します。
また、支給した残業代が4月~6月分に係る場合には、社会保険料の算定基礎届を年金事務所等へ再提出する必要があります。
従業員にとっては、収入が増えますが、その分、所得税・住民税・社会保険料も増えることになります。
また、所得が増えることで、扶養から外れる、所得制限を超えるなど、いろいろと修正が必要となってきます。
一時金として支払った場合
過去の未払残業代を一時金として支払った場合、税務上も社会保険の取扱い上も、賞与を支払った場合と同じ様に扱われます。
この場合は、支払った年分の給与に該当しますので、過年分の所得税・住民税・社会保険料を修正する必要はありません。
従業員は、支払を受けた年分の所得が増えますので、その年の所得税や、翌年の住民税の負担などが増えることになります。

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