公務災害の遺族補償年金、夫の請求が通る
最近のニュースで、大阪地裁で遺族補償年金支給年齢に男女差を設けることを違憲とした事例がありました。
遺族補償年金は、夫が死亡した場合妻には年齢に関係なく支給されますが、妻が死亡した時は死亡当時夫が55歳以上かつ、夫が60歳になってからしか支給されません。
この事例では地方公務員であった妻が職務上のストレスから自殺し、夫が労災申請をしていました。
ところが妻の死亡当時夫が51歳であったため、遺族補償年金は不支給とされてしまいました。
夫はこの処分の取り消しを求めて訴訟を起こし、裁判所側は夫の言い分を認める判決を出しました。
女性の社会進出、共働きの増加
地方公務員災害補償法の施行された1967年頃は夫が外で働き、妻は家事に専念すると言う世帯が一般的でしたが、1986年の男女雇用機会均等法施行以来、女性の社会進出も増加、2010年時点では専業主婦世帯797万に対し、共働き世帯1012万世帯と大きく増え、近年では妻が家計を支えて夫が専業主夫の場合も多々あります。
労災補償に限らず、厚生年金保険や共済組合の遺族年金も妻の死亡時夫が55歳以上、受給は60歳からとなっています。
年金財源の問題もあるのですぐに他の遺族年金制度に波及するのかは判りませんが今後見直しの動きがあるかもしれません。
父子家庭の遺族基礎年金の支給
労災補償でない年金では、2014年4月から父子家庭にも遺族基礎年金が支給されます。
現行の仕組みでは夫が死亡して遺族が妻と子の場合、妻は子が18歳になった年度末まで遺族基礎年金を受給する事ができます。
しかし妻が死亡しても、夫と子は遺族基礎年金を受給することはできません。
一般的には、父子家庭より母子家庭の方が生活の困窮度が高いからということでしょう。
しかし父子家庭であっても生活に困っている家庭も多いという状況から、妻が亡くなり、夫と18歳の年度末までの子の場合は、年1,012,800円が支給されるようになります。
また、夫の被扶養配偶者である妻(第3号被保険者)が死亡した場合は夫には遺族基礎年金は支給されません。
残された家族が困窮しないように支給するという性格のため、共働きまたは妻が収入の担い手であった専業主夫の場合は支給されます。
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