少人数私募債とは
そもそも私募債とは、社債の一種です。
「社債の発行」というと、大企業が行う「公募債」のイメージが強いため、中小企業にとってはあまりなじみがないかもしれません。
「少人数私募債」とは、「公募」に該当しない方法で社債を発行します。
一般的には、社債の購入を中小企業の社長の親族や知人などといった縁故者の中から募るため、「縁故私募債」とも呼びます。
少人数私募債の発行条件
少人数私募債を発行する条件は、主に次の通りです。
(1)社債権者が50人未満であること
(2)社債権者に適格機関投資家(金融や投資のプロ)がいないこと
(3)縁故者に直接募集をすること
(4)社債一口の額面が、発行総額の50分の1未満であること
(5)募集総額が1億円未満であること
(6)譲渡制限を設けること
※6か月間以内に同一種類(償還期限と利率が同じ)の少人数私募債を複数回発行する場合は、累計した社債権者が50人未満でなければなりません。
※縁故者とは、中小企業の経営者のほか、経営者一族、役員、株主、取引先、社員、社員の親族、友人、知人等が該当します。
発行のメリット
少人数私募債を発行するメリットには、次の点があげられます。
(1)無担保、社債券の発行不要、官庁への届出義務もなく、取締役会の決議だけで比較的簡単に発行可能です。
   (取締役会がない会社の場合は、株主総会の決議となります。)
(2)発行金額、償還期間や利率を自由に決められることができます。
(3)社債券を発行する必要がないので、発行コストがかかりません。
(4)社債権者に対して支払う社債利息は、全額経費計上することができます。
(5)利息は20%(所得税15%、住民税5%)の源泉徴収で課税が完結するため、高額所得者にとっては税務上有利です。
(6)自治体によっては、社債利息の一部に対し補助金を支給する制度があります。
発行のデメリット
少人数私募債を発行する場合のデメリットには、次の点があげられます。
(1)償還期限に、多額の資金が必要になる。
月々の返済がない代わりに、償還時に全額返金しなければならないため、資金繰りを十分に検討する必要があります。
(2)予定額が集まらない可能性がある。
縁故者に対する募集であっても、担保がないため、信頼と確かな情報がなければ、引き受けに応じてもらえません。
そのため、予定していた金額の資金調達が見込めない場合があります。

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