2008年4月にスタートした「ふるさと納税」制度は、生まれ故郷の自治体などに寄附金を支払うと、金額に応じて個人住民税などの軽減を受けることができます。
「ふるさと」といっても、生まれ故郷に限らず、全国すべての自治体が対象になりますし、「納税」といっても、実質は寄附金です。
もともとは、都市部と地方との格差や、過疎などによる税収の減少など、税収の格差を是正するために導入されました。
近年は、義援目的での寄附が増加しているようです。東日本大震災の際には、被災地に、発生から2か月で、全国寄附総額の6倍以上の寄附が贈られたそうです。
ただ、この制度に関しては、賛否両論があります。
賛成意見・メリット
・進学や就職などで、故郷を離れても、その地域に貢献することができる。
 
・地方自治体が、成長過程で教育に税金を注いでも、他の地域へ転居してしまい税収の増加が見込めないということを解消できる。
・通常の納税をする場合と、同じ負担額で、好きな地方に寄附金を送ることができる。
・一部市町村から、ふるさと納税のお礼として、ご当地の特産品をもらうことができる。
反対意見・デメリット
・行政サービスを受ける住民が税を負担する「受益者負担の原則」の観点から外れる。
・各自治体での業務が煩雑になる(特に税額控除を受ける自治体)。
・都道府県は、市町村に比べて、「ふるさと」としての愛着が持たれにくく、寄附金が集まりにくい。
・根本的な地方間格差・地方活性化の解決策にはなっていない。
・税額控除を受けるには、確定申告をしなければならないため、給与所得者にとっては手間がかかる。
上記の内容を踏まえると、財政赤字に悩む地方自治体は賛成意見が多く、税収がある大都市部からは反対という意見が多そうです。
実際、他の自治体に多額の寄附が行われることで、寄付した人の住所地の自治体が、多額の還付金を返すことになってしまったケースもあるようです。
メリット、デメリットはありますが、生まれ故郷や、特別な思い入れのある地域を応援したい場合には、活用できる制度だと思います。

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