「領収書」と「領収証」はどちらが正しいか
「『領収書』と『領収証』はどちらが正しいのですか?」と聞かれることがあります。
結論的には、どちらの表現でも通用しますが、民法上の「受取証書」として意識するならば、「領収証」の方がしっくりくるでしょうか。
例えば民法では売買契約を行った場合、売手側は商品などの目的物の引渡義務、買手側は代金支払義務が生じます。
これらの義務が履行されたとき、すなわち商品を引き渡したときや、金銭を支払ったときは、
①二重払いの防止(積極的機能)、
②債務を弁済したという証拠(消極的機能)
の観点から、相手から「受取証書」の交付を請求することができるとされています。
このうち金銭の受取りに関するものが「領収証」といえるでしょう。
従ってレシートも「領収の証」を示すものですので、上の「受取証書」の役目はキチンと果たしている訳です。
最近のレシートは品名、店名、日付といった詳細な情報が記載されていますので、手書きの領収証より経理処理の判断がしやすいといった場面も多々あります。
H26.4.1より領収証は5万円未満が非課税
この「領収証」等の印紙税の取扱いについて、従来より記載された受取金額が3万円未満のものが非課税とされていましたが、H26.4.1以降に作成されるものについては、受取金額が5万円未満のものについて非課税とされることとなりました。
 
今回の印紙税改正の背景
印紙税は国から見れば1兆円前後の貴重な財源なのですが、近年のIT 化の進展に伴い電子商取引等が増大すると、同じ経済取引であっても文書については課税されるが、電子商取引等については課税されないという課税上の不公平が生じてきました(電子取引やペーパレス化が進んでいない中小企業に印紙税負担が偏りつつあるとの指摘もあります)。
これに対して日本税理士会連合会などの各種団体から、時代に合わせて、課税文書の範囲を縮減するなど印紙税のあり方について検討すべきだとする要望が出ていました。
今般の改正は、消費税率8%の改正時期であり、さらに10%への引上げも控えていますので、その実務へのインパクトも考えての改正であったのかもしれません。
金融機関の振込手数料の料金区分も3万円で変わるものが多いですが、こちらも見直されると良いですね。

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