利含みと配当含み
利付き債券の売買価格は、利払日の翌日から次の利払日に向けて経過利子の発生に伴い上昇していきます。
これを(利含み値段)といいます。
株式市場における株価にも、配当含みの値段、配当落ちの値段があります。
配当金交付基準日(株主の異動を停止して株主として登録される権利を確定させる日)まで配当含みの値段で推移し、その翌日に配当落ちの値段に変わります。
利子と配当とは原理的に異なる
利子は約定により支払われますが、会社の利益の分配としての配当が約定により定期的に支払われることはありません。
従って、経過利子が、元本に対して別立て表示を原則とするに対して、そもそも経過配当という概念がないこと、配当含みの値段の形成は期待思惑によるものなので、配当含み価格を分解して株価と配当に別立てにすることはありません。
もちろん、控除税金の額の精密な計算もありません。
配当期待権は配当落ち後
配当金を受け取る権利は配当金交付基準日に確定しますが、配当金の額は株主総会の決議によって具体的に確定します。
財産評価通達では、株主総会後は配当未収入金が相続財産となるところ、株主総会前の場合は、評価額は同じながら配当期待権という名目での相続財産になるものとしています。
配当基準日の翌日以後は、元本たる株式の価格が配当落ちで下落するのに対応するものです。
受取配当金は益金不算入
配当含みの価格で株式を購入し、配当を受け取ってから配当落ちの価格で売却すると譲渡損失が生じます。
所得税では、受取配当金は配当控除の対象になります。その時は、株式譲渡損は他の株式譲渡益とのみ通算になります。
法人税では、株式譲渡損は単純損金で、受取配当金は50%益金不算入です。
ただし、短期所有株式と判定されると益金不算入扱いの対象外です。
所得税と法人税の所得税額控除
所得税では、配当に係る源泉税は全額、所得税額控除・利子割控除の対象になりますが、法人税に於いては、その株式の保有期間に対応する分だけしか所得税額控除の対象になりません。

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