自営業やフリーで仕事をしている方などの所得税の申告方法には、「青色申告」と「白色申告」があります。
青色申告は最高65万円の所得控除、赤字が翌期以降に繰越しできるなどのメリットが受けられますが、申請や帳簿への記帳義務など、手続き・事務処理に手間がかかります。
これに対して、白色申告は所得控除などのメリットは少ないですが、申請や記帳の義務がありません。
事業規模が大きい場合には、青色申告が断然、有利ですが、売上も少なく、事務処理に時間をかけたくない場合には、白色申告の選択でもよいでしょう。
・青色申告の帳簿書類
正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)により記帳し、貸借対照表、損益計算書を作成することが原則です。
現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳などの簡易な記帳だけでもよいことになっています。
これらの帳簿は、原則として7年間保存しなければなりません。(書類によっては5年間でよいものもあります。)
・青色申告特別控除
不動産所得、事業所得のある青色申告者で、複式簿記により作成した貸借対照表、損益計算書を確定申告書に添付し、確定申告期限内に提出している場合には、最高65万円の特別控除を受けることができます。
上記に該当しない場合で、不動産所得、事業所得、山林所得のある青色申告者は、最高10万円の特別控除を受けることができます。
・青色事業専従者給与
配偶者など家族に対する給与は原則として必要経費にはなりませんが、特例として「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出し、次の要件を満たしている場合には必要経費と認められます。
適用要件は、生計を一にする配偶者その他の親族であること、その年の12月31日現在で年齢が15歳以上であること、その年を通じて6月を超える期間(一定の場合には事業に従事することができる期間の2分の1を超える期間)その事業に専ら従事していることです。
専従者給与の額は、届出書に記載されている方法により支払われ、その記載されている金額の範囲内で支払われたものでなければなりません。
また、給与の額は、労務の対価として相当であると認められる金額とし、過大とされる部分は必要経費とはなりません。
・純損失の繰越と繰戻
損失(赤字)の金額がある場合に、損益通算をしても控除しきれない純損失の金額があるときは、その損失額を翌年以降3年間にわたって繰り越して、所得から控除できます。
また、純損失の繰越に代えて、その損失額を生じた年の前年に繰り戻して、前年分の所得税の還付を受けることもできます。
・白色申告の帳簿書類
原則として、白色申告は記帳の義務はありません。
ただし、前々年分、あるいは前年分の不動産所得、事業所得、山林所得の合計額が300万円を超えている場合には、記帳する必要があります。
記帳する事項は、売上げなどの総収入金額と仕入れその他必要経費に関する事項です。
帳簿や書類は5年間(記帳制度適用者が記帳制度に基づいて作成した帳簿については7年間)、保存する必要があります。
なお、平成26年1月からは、所得金額にかかわらず、すべての方について、記帳と帳簿書類の保存が必要となります。
・白色事業専従者控除
白色の場合、事業専従者給与の制度はありませんが、配偶者やその家族など専従者の数によって一定の金額を控除することができます。
白色事業専従者控除の金額は、配偶者であれば86万円、配偶者以外は専従者一人につき50万円、または、事業所得等の金額を専従者の数に1を足した数で割った金額のどちらか低い金額です。
適用要件は、生計を一にする配偶者その他の親族であること、その年の12月31日現在で年齢が15歳以上であること、その年を通じて6月を超える期間、その事業に専ら従事していることです。
税務署への届出は必要なく、確定申告書に金額など必要事項を記載して提出します。
青色申告の申請や青色事業専従者給与の適用を受けるには、最寄の税務署へ「青色申告承認申請書」「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出しなければなりません。
いずれも、提出期限がありますので注意しましょう。
・原則
承認・適用を受けようとする年の3月15日まで
・新規開業の場合
その年の1月15日までに開業した場合、その年の3月15日まで
1月16日以降に開業した場合、開業した日から2か月以内

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