前回お知らせした通り、法人税の規定では、役員報酬を定期同額で支払わない場合にはペナルティが課されます。
期の途中で増額するのはもちろん、経営不振で減額を余儀なくされている場合にも、原則としてペナルティがかかります。しかし、役員報酬の減額について一定の用件を満たす場合、ペナルティが課されない事例がいくつか紹介されました。
以下に代表的な例を列挙いたします。
1.金融機関との協議による場合
2.株主からの要請による場合
3.利害関係者への信用を維持するため
4.その他
1.金融機関との協議による場合
経営不振により資金繰りが悪化したため、取引銀行に借入金の返済スケジュールを見直してもらう際に、その条件として役員給与を減額することになった場合などがあげられます。
2.株主からの要請による場合
経営不振の説明等のために開かれた臨時株主総会で株主から、業績や財務状態の悪化が役員の経営上の責任にあるとされ、役員給与の額を減額せざるを得ない場合などがあげられます。
3.利害関係者への信用を維持するため
業績や財務状況または資金繰りが悪化したため、取引先等の利害関係者からの信用を維持・確保するために、経営状況の改善が計画され、この計画に役員給与の額の減額が盛り込まれた場合などがあげられます。
4.その他
①役員が病気等により一時的に執務が行えなくなった場合の減額
②グループ会社の給与と足並みをそろえるための減額
③社長から会長へなど、役員の分掌変更があった場合の減額
④企業の不祥事で責任を取った場合の減額
以上、役員報酬の減額については、一定の要件に基づき、様々なケースにおいて減額が認められています。
しかし、ただ単純に「利益を調整するため」、「一時的な資金繰りのため」、「企業の業績目標に達することができなかったため」などの理由では、定期同額報酬の減額要件は満たせません。
期中に役員報酬を増減させることを検討される場合には一度ご相談ください。

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