預金を放置すると銀行の収入になる
長期にわたり出し入れのない預金口座を休眠口座といいます。
全銀協では、「休眠預金に係る取扱基準」を定め、一定期間経過した休眠預金は利益へ振替える規定を置いています。
取扱基準の制定は、「重加算の対象となる」という税務の要請を根拠としていると解説しています。
国会議員が政府に質問する「質問主意書」と内閣総理大臣名での「答弁書」が衆参両議院のホームページに掲載されていますが、その中に、「休眠口座」に関する上記の事実を採り上げたものがあります。
質問主意書への答弁書によると、毎年のように、900億円近い不労所得が発生しています。
収入になっても消えるわけではない
銀行預金にも消滅時効の規定が適用され、5年や10年で預金者は、時効により預金債権を喪失する可能性があります。
しかし、金融機関は、利益に計上した休眠預金について、払い戻しの請求があると、その請求に応じて支払いをしているようです。
そうすると、利益への計上は、時効の援用による利益ということではないことになります。
なぜなら、時効は援用により確定し、援用により一度確定した時効利益は撤回することができないからです。
収入にしないと重加算
質問主意書への答弁書によると、国税当局もその規定の存在を部内で周知させてはいるものの、「銀行がそういう取扱いをすることについての要請や指導という当局側からの働きかけをした事実はない」としています。
もしかすると、実際に、あるいは阿吽の呼吸の下での要請があったのかもしれませんが、その要請を裏付ける法的根拠は無いようです。
既に法律は準備されている
内閣府のホームページには、「金融機関における休眠預金口座の取扱い及び休眠預金の活用に関する法律案(休眠預金法案)」が、平成23年3月8日版として掲載されています。
法案は国会に未だ上程されていませんが、韓国やイギリスに先例があり、民間金融機関の休眠口座を政府配下の休眠口座管理機関に移して、ベンチャー企業などの支援に活用することなどを目的としています。

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