自販機スキーム
いわゆる自販機スキームと呼ばれる節税スキームでは、消費税の仕入税額控除の原則方式である個別対応方式を採らずに一括比例配分方式を採ることが前提になっています。
居住用賃貸マンションの建設費は非課税売上対応課税仕入なので、個別対応方式だったら、もともと仕入税額控除の対象にならない制度設計になっているところを、一括比例配分方式を採ることで、その制度設計の目的を破綻させたわけです。
そのために、平成22年度税制改正で調整対象固定資産の取得に係る3年縛り、平成28年度税制改正で高額特定資産の取得に係る3年縛りが規定されることになりました。
売上ゼロのケース
このような、課税売上を創り出して課税売上割合を操作するようなことを全くしないので、課税売上がなくて、課税売上割合がゼロになってしまっているケースがあります。
会社の設立1期目などで商品等の課税商品仕入だけで売上ゼロのケース、外国法人の日本支店などが課税商品仕入をして外国法人本店に引き渡しているケース、などです。
これらのケースでは、課税事業者に該当していれば、仕入税額控除が認められます。
もともと、個別対応方式は原則方式であり、原則方式を維持している限り、課税売上対応の課税仕入は、課税売上割合と無関係に仕入税額控除がなされることになっています。
仕入税額控除の計算式
個別対応方式の計算式は、課税仕入を、
①課税売上にのみ要する課税仕入、
②非課税売上にのみ要する課税仕入、
③課税売上と非課税売上の共通の課税仕入、
に区分し、「①+③×課税売上割合」となっています。
したがって、課税売上がゼロの課税期間であっても、上の①の値に影響がなく、仕入税額控除に制限が加えられることはありません。
消費税の通達によると、次のような課税仕入がそのまま仕入税額控除の対象になると説明されています。
(1)そのまま他に譲渡される課税資産
(2)課税資産の製造用にのみ消費し又は使用される原材料、消耗・備品等
(3)課税資産に係る倉庫料、運送費、広告宣伝費、支払手数料又は支払加工賃等
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