会社が役員に支給する退職金で、適正な額のものは、損金の額に算入することができます。
その役員退職金の損金算入時期は、原則として、株主総会の決議等によって退職金の額が具体的に確定した日の属する事業年度となります。
ただし、法人が退職金を実際に支払った事業年度において、損金経理をした場合は、その支払った事業年度において損金の額に算入することも認められます。
1.役員退職金の分割支給
資金繰りの関係で、役員退職金を複数年度に渡って分割で支給するようなケースも増えています。
その場合、次の二つの方法が考えられます。
① 確定年度において全額を損金として計上し、翌期以降の支払時には未払金の精算とする。
② 各事業年度において支払う都度、その事業年度の損金とする。
2.分割支給の場合の源泉徴収税額
分割支給の場合であっても、退職金支給総額について源泉徴収すべき税額を計算しなければなりません。
その計算された税額を各回の支給金額で按分して計算することになります。
具体的には、次のように計算します。
退職金の総額 3,000万円
第1回支給額 2,000万円
第2回支給額 1,000万円
勤続年数 34年
(1) 退職所得等の総額に対する税額
① 退職所得控除額 800万円+(70万円×14年)=1,780万円
② 退職所得の金額 (3,000万円-1,780万円)×1/2=610万円
③ 源泉徴収税額 (610万円×20%-427,500円)×102.1%=809,142円
(2) 各回の支給額から徴収する源泉所得税額
① 第1回 809,142円×2,000万円/3,000万円=539,428円
② 第2回 809,142円×1,000万円/3,000万円=269,714円
役員退職金を分割支給する場合でも、利益調整の手段とすることは認められませんので、支給時期と金額を明確にする必要があります。
10年など長い期間に渡る分割は、退職年金と見なされる可能性がありますので注意しましょう。
記事を読まれた方又は第三者が当該業務日誌に記載されている情報などに基づいて被ったとされるいかなる損害についても、当法人およびその情報提供者は損害賠償その他一切の責任を負担致しません。
記事の内容についてのご質問はお問い合わせのページよりお願いいたします。
ご質問の内容によっては有料でのご対応、もしくはご返答いたしかねる場合がございますので、あらかじめご了承ください。