消費税率引き上げに伴い、「工事の請負に関する経過措置」「資産の貸付けに関する経過措置」「長期大規模工事等の請負に関する経過措置」などの適用を受ける場合には、取引の相手方に対して経過措置の適用を受ける旨を、書面により通知しなければなりません。
また、「長期大規模工事等の請負に関する経過措置」を適用した場合には、適用を受けた部分に係る対価の額の通知も必要となります。
ただし、これらの通知は、通知のための書類を別に作成する必要はなく、消費税法の請求書等の範囲に規定する請求書等に、経過措置の適用を受けたものであることを記載することで認められます。
仕入税額控除の適用要件とされている「帳簿及び請求書等の保存」の「請求書等」とは、次の内容が記載されたものです。
①書類作成者の氏名又は名称
②取引年月日
③取引内容
④取引金額(税込)
⑤書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称
これらの内容に、経過措置の適用を受けたものである旨を記載すれば、個々の取引に対する経過措置の適用状況等が明らかであるといえます。
なお、経過措置の適用を受けた場合には、通知義務とは別に、税務調査等で客観的に説明できるように、契約締結日などが記載された契約書等も保存しておくことも重要です。
もし、通知をしなかった場合、どうなるでしょうか?
国税庁のQ&A(問34)で、「この通知をしたかどうかは、経過措置の適用関係に影響するものではありません。」と記載がありますし、罰則なども設けられていませんが、法律上の義務と規定されていますので、通知を省略することは認められません。
受注者が、経過措置の適用を受けたことや受けた金額について、発注者に通知しなければ、発注者の申告誤りにつながることも考えられますので、通知を失念しないように注意しましょう。

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