所得拡大促進税制の要件緩和方針がまとまりました。
給与増加率「5%」要件や、平均給与等支給額の算定方法が変わります。
この所得拡大促進税制は平成25年4月1日以降、開始する事業年度から適用されていますが、新しい制度は平成26年度4月1日から適用されます。
個人の所得水準の底上げをさらに促進していくため、制度を2年間延長するとともに、従業員への給与などの支給額を基準事業年度から5%以上増加させるという要件が緩和され、平均給与等支給額の算定方法についてもより適用しやすいように緩和されるようです。
●所得拡大促進税制とは(現行制度)
平成25年4月1日から平成28年3月31日までの期間内に開始する各事業年度(個人事業主の場合は、平成26年1月1日から平成28年12月31日までの各年)において、国内雇用者に対して給与等を支給し、以下の3つの要件を満たした場合、雇用者給与等支給増加額の10%の税額控除ができる制度です。
ただし、控除できる税額は、その適用事業年度における法人税の額(個人事業主の場合は所得税の額)の10%(中小企業の場合は20%)が限度となります。
①「雇用者給与等支給増加額」の「基準雇用者給与等支給額」に対する割合が5%以上であること
②「雇用者給与等支給額」が「比較雇用者給与等支給額」以上であること
③「平均給与等支給額」が「比較平均給与等支給額」以上であること
この3つの要件、聞きなれない言葉が並んでいますので、一つ一つ説明していきたいと思います。
*「基準雇用者給与等支給額」
平成25年4月1日以後に開始する各事業年度のうち最も古い事業年度の前事業年度の雇用者給与等支給額をいいます。
すなわち、平成25年4月1日より前に事業を行っている法人の場合には、平成24年度(個人事業主の場合は平成25年)の雇用者給与等支給額が「基準雇用者給与等支給額」となります。
*「雇用者給与等支給額」
国内雇用者に対して支給する給料、賃金及び賞与などの給与の額で、当該適用事業年度において損金算入される金額をいいます。
ただし、役員の親族や使用人兼務役員に対して支給する給与や退職手当ては除かれます。
*「雇用者給与等支給増加額

適用事業年度の「雇用者給与等支給額」から「基準雇用者給与等支給額」を引いた金額です。
*「比較雇用者給与等支給額」
適用事業年度の前事業年度の雇用者給与等支給額をいいます。
*「平均給与等支給額」
「雇用者給与等支給額」から日雇い者に係る金額を控除した金額を、適用事業年度における給与等の月別支給対象者(当該適用事業年度に含まれる各月ごとの給与等の支給の対象となる国内雇用者のうち日雇い者を除きます)の数を合計した数で除して計算した金額をいいます。
*「比較平均給与等支給額」
「比較雇用者給与等支給額」から日雇い者に係る金額を控除した金額を、前事業年度における給与等の月別支給対象者(当該前事業年度に含まれる各月ごとの給与等の支給の対象となる国内雇用者のうち日雇い者を除きます)の数を合計した数で除した金額をいいます。
ただし、当該前事業年度がない場合(新たに事業を開始した場合)は、月別支給対象者数は1とします。
●要件緩和の内容
①適用年度を平成30年3月31日まで2年延長
②給与等支給増加率「5%」という要件を緩和
(現行)雇用者給与等支給増加額の基準雇用者給与等支給額に対する割合が5%以上であること
(改正)適用1~2年目については2%、3年目については3%、4~5年目については5%と段階的になります。
③平均給与等支給額の比較方法を変更
現行制度では、日雇いのみを除いて計算していたところを、「継続雇用者」に限定して新規採用者や退職者を除いた金額で比較できるようになります。

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