平成25年度税制改正法案が、3月29日に参議院で可決、成立となりました。
今回の税制改正の中でも、相続税では、課税ベースの拡大と税率構造の見直しを行っています。
これにより、相続税を課税する対象者が増え、相続税の申告件数は今までの1.5倍になるといわれているのです。
それでは、改正内容の主だったものを見ていきます。
基礎控除の引き下げ(平成27年1月1日~)
基礎控除額の範囲内であれば相続税はかかりませんが、その基礎控除額が引き下げられました。
現行 : 5,000万円+1,000万円×法定相続人の数
改正後 : 3,000万円+600万円×法定相続人の数
例えば、相続人が配偶者と子供2人の場合、現行の基礎控除は8,000万円でしたが、改正後は4,800万円に減ってしまいます。
税率構造の見直し(平成27年1月1日~)
最高税率が50%から55%に引き上げられ、税率段階が6段階から8段階へと細分化されました。
現行 改正案
税率 税率
1,000万円以下の金額 10% 同左
3,000万円以下の金額 15% 同左
5,000万円以下の金額 20% 同左
1億円以下の金額 30% 同左
3億円以下の金額 40% 2億円以下の金額 40%
― 3億円以下の金額 45%
3億円超の金額 40% 6億円以下の金額 50%
― 6億円超の金額 55%
小規模宅地等の特例の改正(①②:平成27年1月1日~、③:平成26年1月1日~)
小規模宅地等の特例とは、相続税の計算で自宅や事業用の土地を評価する際、一定の要件に該当するときは、最大80%の減額を認めるという特例です。
ただし、小規模宅地等の特例を使って相続税を計算した場合には、たとえ相続税額がゼロであっても、相続税申告書を提出し一定の書類を添付しなければなりません。
①特定居住用宅地等に係る特例の適用対象面積の拡大
特定居住用宅地等について、適用対象面積が、現行の240㎡から330㎡に拡大されました。
②特定居住用宅地等と特定事業用宅地等・特定同族会社事業用宅地等の併用可能
特定居住用宅地等と特定事業用宅地等・特定同族会社事業用宅地等がある場合、現行では原則どちらかの限度面積までしか適用できませんでしたが、改正後はそれぞれの限度面積まで併用して適用できるようになります。
これにより、適用面積は最大730㎡となります。
③特定居住用宅地等の適用要件の緩和
・老人ホーム
老人ホームに入所したことにより被相続人の居住の用に供されなくなった家屋の敷地の用に供されていた宅地等は、次の要件が満たされる場合に限り、相続開始の直前に被相続人の居住の用に供されていたものとして特例を適用できることになりました。
イ 被相続人に介護が必要なため入所したものであること。
ロ 当該家屋が貸付け等の用途に供されていないこと。
・二世帯住宅
一棟の二世帯住宅で構造上行き来ができないものついて、被相続人及びその親族がそれぞれに居住していた場合には、その親族が相続又は遺贈により取得したその敷地の用に供されていた宅地等のうち、被相続人及びその親族が居住していた部分に対応する部分が特例の対象となりました。
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