年末調整は、給与を受ける人それぞれについて、原則、毎月の給料や賞与などの支払の際に源泉徴収をした税額と、その年の給与の総額について納めなければならない年税額とを比べて、その過不足を精算する手続です。
税制は毎年改正されていますが、年末調整をする上で昨年と比べて変わった点はどこでしょうか。
また、よく質問をうけるケースもご紹介します。
昨年と比べて変わった点
(1)復興特別所得税の導入
所得税の源泉徴収義務者は、毎月の給与や賞与の金額から、源泉徴収税額表に基づき税額を徴収し、納付しています。
平成25年分源泉徴収税額表からは、税額に復興特別所得税相当額が含まれていますので、すでに毎月の給与や賞与の金額から、所得税と復興特別所得税(源泉徴収すべき所得税の額の2.1%相当額)の合計額が徴収されていることになります。
したがって、年末調整も、所得税及び復興特別所得税額の合計額で行います。
(2)給与等の収入金額が1,500万円を超える場合の給与所得控除額については、245万円の定額とすることとされました。
給与所得控除額の上限が、245万円に設定されたということです。
(3)特定の役員等に対する退職手当等に係る退職所得の金額の計算については、退職所得控除額を控除した残額を2分の1にする措置が廃止されました。
なお、特定の役員等とは、役員等の勤続年数が5年以下で、次に掲げる人をいいます。
ア.法人税法第2条第15号に規定する役員
法人の取締役、執行役、会計参与、監査役、理事、監事及び清算人並びにこれら以外の者で法人の経営に従事している者のうち政令で定めるもの
イ.国会議員及び地方公共団体の議会の議員
ウ.国家公務員及び地方公務員
質問をうけるケース
Q1.給与収入1,500万円の役員は、給与以外にも家賃収入があり、毎年確定申告をしています。
   確定申告をするのだから、年末調整は行わなくてよいでしょうか。
A1.「扶養控除等申告書」を提出していて、かつ、給与収入が2,000万円以下の方について、会社は年末調整を行わなければなりません。
したがって、給与以外に所得があるため確定申告をしている方についても、年末調整をしてください。
Q2.従業員が扶養している母親が遺族年金をもらっています。遺族年金はどのように取り扱えばよいですか。
A2.遺族年金は、所得税法で非課税と定められており、所得には含まれません。
扶養親族に該当するかどうかは、遺族年金を除いたところで判定して下さい。
Q3.生命保険料は従業員が支払っているのですが、契約者は従業員の家族です。
だれの生命保険料控除として申告できますか。
A3.従業員が契約した生命保険の保険料だけに限らず、家族など従業員以外が契約した生命保険の保険料であっても、その従業員がその保険料を支払ったことが明らかであれば、従業員の生命保険料控除の対象とすることができます。
Q4.年末調整が終わって、12月分給与と還付金を受け取りました。
その後12月28日に入籍をしたのですが、配偶者は給与収入が年間103万円以下です。
年末調整は終わってしまったので、配偶者控除は受けられないでしょうか。
A4.配偶者控除を受けられるかどうかは、その年の12月31日の現況で判定します。
この場合、配偶者が、配偶者のご家族の方で扶養親族として控除を受けていなければ、あなたの方で配偶者控除を受けることができます。
年末調整は、翌年1月末日までやり直しをすることができますので、再調整を申し出てください。

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