国際的スタンダードに合わせる税制改正

従来、日本は伝統的に、事業所得について、「PE=恒久的施設(=事務所などの固定的な場所や代理人)なければ課税なし」との原則を採用してきました。

これは、事業の準備的活動等を課税の対象から除外することで、国際的経済活動に対する租税の阻害効果を出来るだけ排除することを目的とするもので、国際租税法の一般原則でした。

OECDは、一部の多国籍企業による各国の税制の違いや抜け穴を利用した課税逃れに対し、BEPS(税源浸食と利益移転)プロジェクトを立ち上げ、問題解決を図ってきました。

そして、2017年モデル租税条約改正でPE範囲の国際的スタンダードを定めました。

日本も、平成30年(2018年)の税制改正で、この国際的なスタンダードに合わせることとし、併せて、PEに関する租税条約と国内法の規定の適用関係も明確化されることとされました。

適用は平成31年1月から

恒久的施設関連規定の見直しで、主な改正事項は次の通りです。

平成31年分以後の所得税及び平成31年1月1日以後に開始する事業年度分の法人税に適用されています。

①いままでは、保管・展示・引渡しなどの特定活動のみを行う場所が除かれていました。

しかしながら、こうした除外規定に該当するような事業分割を行ない、租税回避がなされることもありました。そのため、特定活動のみを行う場所も、その活動が、外国法人等の事業の遂行にあたり、準備的・補助的な性格のものでない場合はPEに該当することと改正されました。

②以前は、契約締結代理人等が代理人PEとされていましたが、代理人の役割を限定することによるPE認定回避に対応するよう改正されました。

在外子会社有の場合も要注意

平成30年税制改正で直接影響を受けるのは、日本に進出している外国企業等です。

しかしながら、2017年のOECDモデル租税条約改正で、世界各国に同じような動きが出ることとなりました。

日本を本店とする会社にも影響があります。

在外子会社等で海外進出している場合は、現地国でどのような改正が行われ、実際に自社グループにどんな影響があるのかを、いま一度確認しておく必要があります。

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