新しい情報照会手続きの創設

今年の税制改正大綱の「六 納税環境整備」の中に、「2 情報照会手続の整備」という項目があります。

そこに、「国税に関する調査に関し参考となるべき帳簿書類その他の物件の閲覧または提供その他の協力を求めることができることを法令上明確化する。」と書かれています。

税制調査会のホームページから

税制調査会は、2017年に北欧、北米、英仏、韓国についての4つの海外調査報告を公開しており、北米編での調査項目には、ジョン・ドゥ・サモンズがあります。

2018年11月7日付けの会議録には、仮想通貨取引やシェアリングエコノミーについては、法定調書など現行の枠組みでの対応が難しい、それ以外の情報照会手段にすべき、との意見が、出されていました。

税務大学校のホームページから

国税庁ホームページの税務大学校のところには、以前からいくつかのサモンズに関する研究論文が掲載されています。

サモンズは行政効率の悪い制度である、日本では、裁判所の負担を増やすことを前提とする制度導入は現実的ではない、と書かれています。

「裏をとる」制度の合法化と効率化

現行税務調査では、「裏をとる」方法として反面調査や一般的資料箋の収集がありますが、反面調査は法的根拠が薄弱である、一般取引資料箋収集は法的根拠に欠け任意の協力である、などがネット情報としても指摘されています。

国税内部で、ジョン・ドゥ・サモンズの検討がなされていたことは明白で、その非効率の部分や制度化での現実の障害を避けて、日本版の制度化をすることが緊急の課題だったようです。

ジョン・ドゥ・サモンズの日本版化

情報照会に対する協力拒否及び虚偽報告については罰則を設けるが、裁判所が関与する制度にはしないと言うのが、日本版の特徴です。

情報照会対象は、年間1千万円超の所得漏れが想定され、更正決定等の可能性が高く、情報を得るのが困難という条件を満たす場合に限られます。

署ではなく国税局長の所管行為で、取引者の氏名、住所、個人番号、取引額を60日以内の指定日までに、報告するよう書面で事業者等に通知、されます。

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