例年12月はパートの勤務時間の調整時期
例年、12月になると、配偶者控除目的の勤務調整により、パートさんの休みが増えて、雇用者側ではその補充等の対応が大変でした。
ところが、平成30年の税制改正で、その対応に変化が必要であるということについて、当のパートさん自身が十分に把握できていない状況にあるようです。
平成30年税制改正の配偶者控除・特別控除
(1)配偶者の所得が高ければ考慮不要
これまでは、配偶者控除を受ける人(以後、わかりやすいように“配偶者”と称します)の所得の多寡には関係なく、働いて所得を得た人(同じく、“本人”とします)の所得が38万円以下(=給与収入にして103万円以下)の場合に、相方が配偶者控除を受けることができました。
そのため、この範囲内にパート勤務を抑える人が多かったことから103万円の壁と呼ばれていました。
平成30年の税制改正では、配偶者の所得が一定額※以上の場合、そもそも配偶者控除が適用されないこととなっています。
これは配偶者控除対象の本人が働いておらず、収入がゼロであっても、適用されません。
※本人の合計所得が1,000万円(給与収入1,220万円)を超える場合に適用されません。
所得が900万円超~1,000万円以下(給与収入1,120万円~1,220万円)では26万円か13万円の適用となります。
(2)パートの勤務調整は相方の所得次第
配偶者の所得が高ければ、パート勤務の就業時間調整をしても「配偶者控除対策」という意味はないことになります。
12月に勤務調整をしないで働き続けても問題はありません。
一方で、配偶者の合計所得が900万円超~1,000万円の人は、相変わらず、就業時間調整の要望は残るでしょう。
相方の勤務先の家族手当の基準等にも注意
では12月の勤務調整はどうすればよいのでしょうか?
「配偶者の合計所得が900万円超~1,000万円の人は、いままで以上にシミュレーションが必要」としか言えません。
手取り額の損得で考える場合、
①配偶者控除の額、
②配偶者特別控除の額(配偶者の所得と本人の所得により1万円から38万円の控除)、
③社会保険料の壁130万円(大企業の場合106万円)も、検討要素となります。
また、配偶者の勤務先に家族手当の所得基準がある場合は、それも大きな検討要素となります。
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