前年帰国者に「予定納税通知書」が届いた
その年の5515日現在において確定している前年分の所得金額や税額などを基に計算した金額(予定納税基準額)が15万円以上である場合、その年の所得税及び復興特別所得税の一部をあらかじめ納付するという制度があります。予定納税制度です。
予定納税額は、所轄の税務署長からその年の6月15日までに、書面で通知されます。
関与先の経理担当の方から、「昨年帰国した外国人出向者の予定納税通知書が届いたので、おかしいなぁと思い、税務署に電話したら、『予定納税減額申請書を出してください。それでゼロになりますので』と言われました。作成してもらえませんか?」との依頼がありました。
どうすべきでしょうか?
帰国者も予定納税対象者
少し専門的な話となりますが、予定納税の規定は、所得税法第2編「居住者の納税義務」の中の第5章「申告、納付及び還付」で規定(所得税法第104条)されています。
そもそも予定納税制度は、居住者(=日本に住んでいる人)の納税義務の話なので、帰国して非居住者(=日本に住んでいない人)となった帰国者には当てはまらない法律なのです。
ではなぜ、税務署から予定納税通知書が届くのでしょうか? 税務署側では出国日につき正確な事実はわかりません。
予定納税通知書は、前年分の所得金額や税額などを基に機械的に発行されるため、帰国者にも予定納税通知書が届いてしまうのです。
本ケースでの対処法は
そもそも納税義務がないのですから、何もしなくて(=無視していただいて)構いません。
税務署に問い合わせると「予定納税減額申請書を出せ」と言われるケースが多いですが、その必要もありません。
所得税法基本通達に「居住者でなくなった場合の予定納税の義務」につき、「たとえ予定納税額等の通知がされている場合であっても、予定納税額を納付する義務はないことに留意する。」と明記してあります。
通達とは、上級官庁から下級官庁への事務命令書なので、後日督促などが来た場合には、所得税法基本通達105-2「居住者でなくなった場合の予定納税の義務」により予定の税は不要です、と回答すればそれで終了です。
税務職員といえどもすべての事務命令書を熟知しているわけではありませんので、問い合わせたら「予定納税減額申請書を出してください」という回答だったわけです。
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