新日・独租税条約では使用料の源泉が免除

2015年12月17日に署名された新日・独租税協定は、2016年10月28日に発効し、2017年1月1日以後に支払を受けるべきものから適用されています。(新条約は旧条約に比べて減免等の規定が増えています。)

2017年1月1日以降に支払う日・独間の著作権等の使用料は、日本の所得税では20.42%の税率で源泉徴収のところ、最初に支払を受ける日の前日までに「租税条約に関する届出(使用料に対する所得税及び復興特別所得税の軽減・免除)」を提出すれば、免除(=ゼロ%に減免)されます。

すなわち、所定の手続きを事前にすることで、支払い側にとっては源泉所得税の申告・納付の手間がなくなり、受け取り側にとっては100%が手取り額となります。

特典条項に関する付表

租税条約を濫用することを制限するために、受益者が所定の要件を満たす場合にのみ条約の恩典を与えるとするものが特典制限条項であり、新日・独租税協定も特典条項を有する租税条約となっています。

そのため、租税条約に関する届出書の他に「特典条項に関する付表(様式17)」及び「居住者証明書(相手国における居住者であることを証明する書類)」が必要になります。

租税条約は強制適用のはず

「条約は国内法より優先されるから、何も手続きしなくても、自動的に有利な租税条約の規定が適用されるはず」と考える方がいらっしゃるかもしれません。

しかしながら、租税条約の文言の中には「租税の額は10%を超えないものとする(=この場合は0~10%の任意の税率)」などがあり、租税に関する「法」としては機能できません。

そこで「租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律」が、租税条約と国内法を結びつける「法」となっています。

「租税条約に関する届出」は、同法の省令第2条~第2条の5、第9条の5~第9条の9で定められているので、届出書を出して初めて適用されることになるわけです。

なお、届出が間に合わなかった場合、事後に提出することで還付請求もできます。

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