国際課税の主な改正項目は、何といっても「外国子会社合算税制(CFC税制)」等の総合的見直しです。

CFC税制とは、外国子会社を利用した租税回避を抑制するために、一定の条件に該当する外国子会社の所得を、日本の親会社の所得とみなして合算し、日本で課税する制度です。

以下、このCFC税制の改正内容を概観してみます。

現行のCFC税制の問題点

現行制度においては、外国子会社の税負担率が20%(トリガー税率)以上であれば経済実体を伴わない所得であっても合算されず、申告も求められない一方で、実体ある事業から得た所得であっても合算されてしまう場合がある、という問題がありました。

そこで、今回の改正においては、租税回避をより的確に抑制するとともに、我が国企業の海外展開を阻害しないよう抜本的な見直しがなされました。

CFC税制の改正の骨子

租税回避リスクを外国子会社の税負担率で判定する現行のトリガー税制を廃止し、外国子会社の個々の活動内容(所得の種類等)により把握し、次のように改めました。

(1)所得が生じている場所で実際に実質的な経済活動が行われている場合、そうして得た所得、いわゆる「能動的所得」については、税負担率にかかわらず日本の親会社の所得に会社単位での合算課税を行わない。

その場合であっても、実質的な事業活動を伴わない資本・知財等の提供から得られる所得、いわゆる「受動的所得」については、事業活動に不可欠であるなど子会社に帰属させることが合理的な場合を除き、税負担率20%未満の場合は、当該所得を日本の親会社の所得に合算する(部分合算課税)。

なお、少額免除基準が2,000万円以下(現行:1,000万円以下)に拡充。

(2)租税回避リスクの低い外国子会社に、所得を「能動/受動」に分類する事務作業が発生しないよう、税負担率20%以上である外国子会社は、会社単位の合算課税の適用を免除。

(3)明らかに経済実体がなく受動的所得のみしか得ていない外国子会社については、税負担率が30%未満の場合は、所得の全額を日本の親会社の所得に合算する(会社単位の合算)。

この改正の適用は、平成30年4月1日開始する事業年度からです。
 

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