学校の授業料は消費税が非課税

消費税法では、学校教育につき、授業料・入学検定料・入学金・教科用図書の譲渡等を非課税としています。

課税売上となるものは、事業収入や教室賃貸等の資産運用収入などに限られています。

また、寄付金収入や補助金収入は不課税売上です。

そのため、課税売上に対応する課税仕入れは、課税仕入れのうちの一部であり、大半の課税仕入れは非課税売上や不課税売上に対応するものと見なされるため、課税仕入れに係る支払消費税の大半が学校法人の負担となっています。

消費税率引き上げの影響

消費税の税率が上がっても、主たる財源である授業料や補助金・寄付金などは消費税がかからない非課税売上や不課税売上であるため、税率引き上げにより収入額が増加するものではありません。

一方、人件費や借入金利息等以外のほとんどの経費は課税仕入れであり、税率引き上げで支出額は増加します。

このことが学校法人の経常的な収支を悪くします。

授業料への価格転嫁も現実的には難しい

理屈からすれば、価格転嫁(=授業料等の値上げ)できないことはありませんが、仕入税額控除できない消費税負担分を授業料の値上げに直結させることは大学教育の市場原理から難しいと思われます。

結局、消費税負担の増加に対抗する収入増のやり方も個々の学校の個別事情により変わってくるのであり、単純に、価格転嫁すれば解決するということにはつながりません。

医学部を抱える大学の場合、医療機関の非課税問題も併せ持つため、収入(=授業料・社会保険給付等)の大半が非課税であることにより消費税を仕入税額控除できず、控除対象外消費税(いわゆる損税)が発生する問題が、より深刻と言えます。

税制改正要望

日本私立大学団体連合会は平成29年度税制改正要望で、消費税に係る負担軽減のための特例措置の創設を挙げていました。

文部科学省からも、過去同様の要望がありました。

家庭の教育費負担の一層の軽減を図ることを目的とすれば、現状の非課税扱いよりも、仕入税額控除可能なゼロ税率の導入の方がより趣旨に沿うこととなると言えます。

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