租税回避策報告義務の対象となるもの

報道によると、①節税策提供に対する割高な報酬がある、②提供節税策について他言無用の守秘義務が約されている、③1年間で億円単位の損失を意図的に作り出している、というような3つの基準のどれかに該当するとその節税スキームは報告義務の対象になります。

すでに国際的には以前から制度化

自分の作戦を相手に告げてからゲームをするようなもので、誰がまともに報告に応じるのだろうと、不思議に思いましたが、米国や英国、カナダなどいくつかの国ではすでにこの情報開示制度は導入済みで、日本は一歩遅れている、のだそうです。

米国での租税回避策情報開示制度導入は1984年で、既に32年の歴史があり、英国では1998年、カナダでは1988年、オーストラリアでは1981年です。

先行制度の機能の有効性

ただし、米国では、EUから1.5兆円追徴されたアップルも、英国に26億円の自主納税をしたスタバも、その他のグローバル多国籍企業も、米国国家として、EU等からの圧力に対して共同して守るべきものになっており、これらの企業の行為は、租税回避ではない単なる節税をしているだけのようで、情報開示制度があっても、現実的にはどれほどの実効性を伴っているのか、疑わしい限りです。

義務的報告制度の導入理由

外国でも、租税回避という用語には合意された定義がないと云われており、専門家によって販売される高度なスキームは経済的実質を盛り込んだ自然な取引の様相を持ち、税務当局としても過度な租税回避商品を通常の税務調査で見つけることがかなり困難と認識するに至っているようです。

 日本での創設予定の租税回避策開示制度は、税務行政当局の調査能力の限界をカバーし、法の不備部分を早期に明らかにし、法令改正により抜け穴をふさぐとともに、租税回避行為を早期に発見し、租税回避案件への重点調査を行うことを目的にして設けられる制度です。

あまりにも原理矛盾

しかし、有効に機能させるには、あまりにも、根源的な原理矛盾を抱えている制度です。

租税回避行為への抑止力にはなるとしても、義務的報告制度への対策的対応が研究され、有りのままの素直な対応は限りなく有り得ないように思われます。

当法人は当業務日誌で発信した情報について正確な情報をお伝えするように努力をしますが、誤り・正確さ・取引の正当性などについては、当法人およびその情報提供者は一切の責任を負いません。

記事を読まれた方又は第三者が当該業務日誌に記載されている情報などに基づいて被ったとされるいかなる損害についても、当法人およびその情報提供者は損害賠償その他一切の責任を負担致しません。

記事の内容についてのご質問はお問い合わせのページよりお願いいたします。

ご質問の内容によっては有料でのご対応、もしくはご返答いたしかねる場合がございますので、あらかじめご了承ください。