外国人(正しくは「非居住者」といいます)であっても日本で所得を得れば(この所得のことを「国内源泉所得」と言います)日本の所得税が課税されます。
その課税方式は、その外国人が日本にPEを持って所得を得ているか否かで異なります。
PEとは、permanent establishmentの略で 、通常、「恒久的施設」と呼ばれています。
PEがあれば、源泉分離課税に加えて総合課税の確定申告義務を負い、PEがなければ、源泉分離課税で課税関係が終了します。
これが、国内税法の原則的な定めです。
具体的には、
①支店PE(工場、事務所、営業所等)
②建設PE(国内において行う建設、プラントの組み立て等の作業所)
③代理人PE(契約締結等の代理)に分けられています。
(1)国内税法に優先する租税条約の存在
この国内税法の定めに対して、一般的には、その外国人の居住地国と租税に関する2国間の取決め(租税条約)があり、日本で得た所得であっても、日本にその外国人のPEがなければ、一定の所得については、日本では課税しないとする条約優先の規定があります。
(2)世界的権威の外科医5億円申告漏れ
過日、話題になった、「米在住の世界的権威の脳神経外科医が日本の病院で手術をし、得た収入が3年間で5億数千万円であったが、日本では申告しておらず、国税当局は、所得税及び消費税の申告を求めた」という新聞報道があります。
これに対し、外科医は「顧問の会計士は、日米租税条約では、日本にPEがなければ、外科医のような自由職業者の所得について、日本では課税しないことになっているので申告の必要はないと言われた」とコメントしています(詳細は不明)。

3)問題の所在(PEの事実認定)
実際、外科医は日本に事業所、手術施設等のPEを有していませんので、条約の定めからすれば日本に課税権はありません。
しかし、問題になったのは次の点でした。
国税局は実態を調査し、外科医と患者や病院との連絡やスケジュール調整を都内の医療機器販売会社に担わせていたことから、この会社を、外科医の代理人としてのPEと認定しました。

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