ストックオプションという無償取得の場合
1円ストックオプションなどで、株式を取得したときは、取得時に時価課税され、
(借)有価証券〇〇〇/(貸)給与収入〇〇〇
として、給与課税されるとともに、その金額が有価証券の取得価額となります。同時に売却した場合、譲渡益はゼロなので2度課税はありません。
広告資産の無償取得の場合
広告宣伝用の資産として車両などを受贈されたときは、取得時に時価課税され、
(借)車両〇〇〇〇/(貸)事業収入〇〇〇〇
取得車両は減価償却の対象になるとともに譲渡するときは、その未償却残額は譲渡収入から控除され、重複して利益に課税されることはありません。
取得時効という無償取得の場合
測量により隣家敷地の長期占有が判明したことに際し、取得時効を主張して自己のものとしたときは一時所得に該当するとの解説があります。
その取得時効部分の土地の時価が1千万円ですと、その価額で課税されます。
(借)土地〇〇〇/(貸)一時所得収入〇〇〇
次にその部分を同年中に1千万円で売却すると、再び1千万円の譲渡所得が計算され、2度課税が起きます。
この場合は、時価課税された金額が取得価額になるとの規定がありません。
遺失物の取得や無主物、埋蔵物、景品等の取得についても同じ現象がおきます。
相続・贈与という無償取得の場合
相続や贈与で先祖伝来の土地を無償で取得した後に売却した場合、相続や贈与で時価課税の洗礼を受けていたとしても、相続や贈与で認識された時価は売却時の原価とはならず、原則として、先祖伝来の土地の継続所有者として再び時価課税され、2度課税となってしまいます。
2度課税への疑問
昭和の時代には所得税と住民税の最高合計税率が90%で、相続税贈与税の最高税率が70%ということがありましたから、限界事例でみると、所得税の2度課税、所得税と相続税の2度課税がされることにより、無償取得財産の価額より多くの税負担を負うことになってしまいました。
今は、それぞれ50%にまで下がっていて、そういう悲惨さは大分緩和されましたが、税の理屈からいって、2度課税はもともとあってはいけないのではないかと思います。

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