雑損控除の対象事由
雑損控除の損害の原因は、次のいずれかの場合に限られます。
(1) 震災、風水害、冷害、雪害、落雷など自然現象の異変による災害
(2) 火災、火薬類の爆発など人為による異常な災害
(3) 害虫などの生物による異常な災害
(4) 盗難
(5) 横領
人為による異常な災害の事例・姉歯事件
構造計算書偽装の姉歯事件の被害物件である分譲マンション居住者は、所得税・個人住民税について雑損控除が適用できることとされています。
政府が入居者に対し、
自主退去の勧告や使用禁止命令等を行ったこと、
検査機関が見過ごしたこと、
居住者が偽装に気付くことは極めて困難、
などの諸般の事情を考慮して、「人為による異常な災害」に該当すると判断されました。
ラジウム撤去処分費用は?
東京都世田谷区で相次いで発見された“出所不明”のラジウム入りの瓶、社団法人「日本アイソトープ協会」が一時的に預かっているということらしいが、撤去や処分に、場合によっては数千万円もの費用がかかる恐れがあるといわれています。
もし個人負担があるとしたら多分、人為による異常な災害損失になるのでしょう。
アスベスト除去費用は?
アスベスト使用に係る建築規制は平成18年からで、また大気汚染防止法は古い建物を解体するに際しての周辺への飛散や解体労働者の曝露を防止するべく、平成8年以降規制が強化されてきました。
その結果、アスベスト使用物件と認定されると、アスベスト除去には、特別な申請等の手続き、専門の業者による工事・検査が必要となり、通常解体費の倍近い費用が追加でかかるようになっています。
このアスベスト除去費用は人為による異常な災害損失に該当するでしょうか。
訴訟になっているアスベスト災害
アスベスト除去費用を雑損控除の対象として所得税の申告をした事例があります。
税務署の容認するところとならず、現在訴訟中ですが、地裁では納税者敗訴となり、高裁で争っています。
構造計算書偽装の姉歯事件との比較において判断すると、容認の余地があるようにも思えます。

当法人は当業務日誌で発信した情報について正確な情報をお伝えするように努力をしますが、誤り・正確さ・取引の正当性などについては、当法人およびその情報提供者は一切の責任を負いません。

記事を読まれた方又は第三者が当該業務日誌に記載されている情報などに基づいて被ったとされるいかなる損害についても、当法人およびその情報提供者は損害賠償その他一切の責任を負担致しません。

記事の内容についてのご質問はお問い合わせのページよりお願いいたします。

ご質問の内容によっては有料でのご対応、もしくはご返答いたしかねる場合がございますので、あらかじめご了承ください。