食糧の安定供給の確保から、農地法等が大きく改正(平成21年6月17日成立、24日公布)され、公布の日から6ヶ月以内の施行となりました。
この改正農地法等は、農地法、農業経営基盤強化促進法、農業振興地域の整備に関する法律、農業協同組合法などを含みます。
何といっても、「農地法1条の改正」がすべてと言っても過言ではありません。
すなわち、農地の所有者が自ら耕作することが最も適当であるとしてきた制度を改め、農地の所有者と耕作者を分離し、農地の賃貸借をも前提にした農業の効率化と農業生産の安定、拡大化に転換したことです。
この農地法等の改正を前提に、平成21年度税制改正で、農地税制、つまり相続税・贈与税の納税猶予制度も改正されました。
その主なものは次の通りです。なお、改正法の適用は、原則、農地法等の施行日からです。
(1)納税猶予期間の改正
従前は、
①三大都市圏の特定市の市街化区域の農地で生産緑地の指定を受けた農地に関しては、納税猶予期間は終身で、
②それ以外の市街化区域及び③市街化区域外農地では20年でした。
しかし、改正では、
③の市街化区域外農地は終身となりました。
この終身への改正は、農地法等の改正で一定の要件を満たす農地の賃貸も営農と認められたことによります。
また、
②の市街化区域農地は、従前通り20年です。これは、都市計画法で市街化区域農地は宅地転用を前提としていることから、据え置かれたものと推測されます。
(2)譲渡面積20%制限の廃止
従来は、猶予期間中に特例適用農地の総面積の20%超を譲渡した場合には、猶予税額が全額打ち切られ、猶予税額に利子税を加えて納付しなければなりませんでした。しかし、今回の改正、農業経営基盤強化促進法の規定に基づき特例適用農地を譲渡した場合には、総面積の20%を超える場合でも、全額打ち切りの対象から外されました。但し、譲渡した割合に応じた猶予税額及び利子税は納めなればなりません。
(3)やむ得ない事情による営農
身体障害等で営農が困難となり農地を貸し付けた場合にでも納税猶予の継続が認められるようになりました。
また、疾病等で一時的に営農できない場合でも一定の要件を満たすものについては、営農を継続しているものとする取扱が明確化されました。
記事を読まれた方又は第三者が当該業務日誌に記載されている情報などに基づいて被ったとされるいかなる損害についても、当法人およびその情報提供者は損害賠償その他一切の責任を負担致しません。
記事の内容についてのご質問はお問い合わせのページよりお願いいたします。
ご質問の内容によっては有料でのご対応、もしくはご返答いたしかねる場合がございますので、あらかじめご了承ください。