給与を支払わないと税金は
企業の業績が悪化し、資金繰りに窮するようになると、給与の未払や遅配を余儀なくされます。
そのようなときに気になるのが、税金や社会保険料です。
源泉所得税は給与対応分だけ
所得税法で給与の支払者はその支給の際に源泉徴収をする義務があるとされています。
支給の際とありますので、支給がなされないかぎり源泉所得税も発生しないことになります。
また支給すべき給与の一部だけが支払われる場合には、分割支給の割合分だけの税額を徴収することになります。
例えば、支給すべき給与の額が30万円でそのときの源泉所得税額が6万円であるとした場合に、給与の3分の1の10万円が支払われるときは源泉税額も3分の1の2万円となります。
このように源泉所得税が徴収されるのは現実の支給に見合った分だけなのですが、年末調整や確定申告の際の所得金額計算では、給与の支給日として定められた日に収入があったものとして未払分も含みますので注意が必要です。
住民税は今の給料に関係ない
住民税においても、給与の支払者は特別徴収義務者として給与の支払時に住民税を徴収しなければなりません。
給与の支払時にというのも所得税と同じです。
ただ、給与支給の際に徴収されている住民税は、前年の所得に対して確定した税額ですので、給与の支給がないことをもってその確定した税額が減免されることはありません。
すなわち給与の支給者がその後支給不能の状態に至れば、未徴収の住民税額分は本人が普通徴収の方法で支払わなければならないことになります。
所得があればこその税金が、所得がなくなるときにまでつきまとう、といったら言い過ぎでしょうか。

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