確定申告時期に迷ってしまう損失の繰越について整理をしてみました。
個人と法人では損失の繰り越せる年数や必要な書類の届出の提出期限が異なっているので注意が必要です。
個人の事業所得や不動産所得の赤字の繰越
青色申告の届出を提出している個人の方は、1年間の収入と経費を集計して赤字になってしまった場合には、所定の確定申告書を提出することにより、この損失を繰り越して翌年以降の黒字と相殺することができます。
繰り越せる年数は最大で3年です。ただし損失の生じた年から毎年期限内に申告をしなければ繰越はできません。
また、青色申告の事業者になるためには、開業してから2ヶ月以内か確定申告の提出期限のどちらか早い日までに青色申告の承認申請書を提出しなければなりません。提出が遅れた場合、翌年からの適用になります。
個人の株式等の売買による赤字の繰越
株式等の1年間の売買に関して損失が生じてしまった場合には、所定の申告書を提出することにより、この損失を翌年に繰り越すことができます。
繰り越せる年数は3年間です。
その間はたとえ株の売買取引がなくても確定申告書を提出して、繰越の損失があることを報告しなければなりません。
またこの繰越の申告については、上記の青色申告の事業者が要件となっていませんので、株式の損失を申告するために、その年に初めて確定申告書を提出する場合には、申告期限を過ぎて申告書を提出しても繰越が認められます。
法人事業の赤字の繰越
法人の利益について赤字が出た場合にも、その法人が青色申告を適用していれば、損失の繰越をすることができます。
繰り越せる年数は最大で7年間です。
青色申告の承認申請書の提出期限は設立後3ヶ月の前日か、事業年度終了日の前日のどちらか早い日となっています。
法人の期限切れ損失の活用
平成22年度の税制改正により、法人が債務超過のために解散した場合の申告については、期限切れになってしまった欠損金も利用が認められることになりました。
この詳細については次回にご説明いたします。

当法人は当業務日誌で発信した情報について正確な情報をお伝えするように努力をしますが、誤り・正確さ・取引の正当性などについては、当法人およびその情報提供者は一切の責任を負いません。

記事を読まれた方又は第三者が当該業務日誌に記載されている情報などに基づいて被ったとされるいかなる損害についても、当法人およびその情報提供者は損害賠償その他一切の責任を負担致しません。

記事の内容についてのご質問はお問い合わせのページよりお願いいたします。

ご質問の内容によっては有料でのご対応、もしくはご返答いたしかねる場合がございますので、あらかじめご了承ください。