目標設定の際、管理者と担当者は適切なレベルの達成水準をどのように設定するか、という課題に遭遇します。
達成度評価が、賃金や昇格に結び付くのですから、一般に担当者の立場では安全、確実に達成できるレベルに設定したいと考えるのは当然の心理です。
したがって、達成水準の設定を担当者の自主性に委ねるのは、会社の経営目標、部署目標と相反する結果になりかねず、適切ではありません。
目標達成基準のレベル設定要件
したがって、管理者は担当者の目標達成基準のレベル設定にあたって、次の要件を満たすように検討し、担当者を誘導して合意形成を図らなければなりません。
①担当者の等級・役割・期待貢献に合致するレベル以上であること。(経営目標の達成に貢献できるレベル)
②担当者の能力に比べて一段階高い、本人が努力してようやく手が届く(ストレッチな)レベルであること。
(本人の能力開発に役立ち、成長が期待されるレベルであると同時に①のレベルからさらに挑戦度が高まる可能性がある)
③達成基準は可能な限り定量化し、定量化できない場合でも、目標達成の目的や主要手段を達成度評価ができる程度まで具体的な表現とすること。
経営者・管理者の留意点
目標達成基準のレベル設定は、目標管理制度運用マネジメントの問題である以前に、会社がより高い挑戦を目指す挑戦的組織風土を持っているかどうかが、そのレベルに影響を与えるといえましょう。
日本企業における過去の事例から見て、このような組織風土づくりは、経営トップ自ら、または一部の優れた管理者が、社員と危機意識・問題意識を共有して、全員参加の挑戦的目標設定を行い、難関を乗り越えて達成する組織としての“至高体験”を通じて形成されます。
トップは、自社の組織、目標管理制度運用状況などから判断し、好機を捉えて社内にこのような組織変革を働きかけることが、将来の発展にとって望ましいといえます。

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