「早生まれ組は、税制上の有利な控除がいつも1年遅れで、学齢期に係る扶養控除の場合は1年分損をする」という「早生まれは損」の現象は以前から存在していました。
それが、今年の税制改正によって、ダブル損になることになりました。
年少扶養親族の扶養控除廃止の改正
今年の税制改正で、15歳以下の年少扶養親族には扶養控除の適用がないことになりました。
改正法で、本来扶養控除の適用開始年齢と考えている高校1年生のときには、早生まれの生徒は判定ではまだ15歳なので扶養控除の適用を受けられません。
「相変わらず1年遅れで、必要な時に必要な政策的支援が行き届かず、さらに結果的に適用できる期間が1年短くなる」ことが続いています。
これが第一の損です。
子ども手当と年少扶養親族
「子ども手当を支給するから年少扶養親族を扶養控除から排除する」というのが新制度の趣旨です。
でも、子ども手当はその支給期間が中学校修了までの子育ての支援ということで、3月の卒業時までの支給で打ち切りという制度設計になっています。
そのため、早生まれの高校1年の生徒については、税法では年少扶養親族として扶養控除対象外としておきながら、一方で子ども手当については支給がありません。
「高校1年で、社会的子育て支援としての子ども手当もしくは扶養控除のいずれの恩恵も受けられない」
これが第2の損です。
放置された不平等に対する真摯な検討を
今年の予算をめぐる国会の議論を記録した衆議院財務金融委員会の3月1日の議事録をみると、
「『早生まれは損』が今年からダブルの損になる」
という指摘が佐々木憲昭議員から菅財務大臣に投げかけられていました。
官僚答弁は、
「高校の実質無償化が同時進行するので、負担は緩和されている」
と言うものでしたが、
菅財務大臣は、
「私たちが必ずしも気がつかなかったことを含めて御指摘をいただいたと思っております。
まさに、佐々木議員がおっしゃったように、私たちも、こういうことで一部の人に不利益な扱いにならないようにどうすればいいのか、ちょっといろいろ工夫が必要かもしれませんが、PT等で真摯に検討していきたい」
と答弁しました。
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