高速ツアーバス、許可制導入の流れ
今年4月、関越自動車道で7名の命を奪う痛ましい事故が起きました。
これを受け、国土交通省では、高速ツアーバスの厳格な制度設計と安全性確保のため、新たに新高速乗合バス制度を設計し、早期に新制度への移行を促す旨を発表しました。
高速乗合バスと高速ツアーバス
一般的に言う高速バスには、高速乗合バスと、高速ツアーバスとの2種類が存在しており、これらは業態が酷似しているにも関わらず、各々別の法律により管理されています。
高速乗合バスの運行は、道路運送法の下、国土交通省から一般乗合旅客自動車運送事業の許可を得ることで運行することができ、運行ダイヤや停留所の設置などについて細かく管理されています。
安全面の配慮からこうした制限があるわけですが、運賃の価格についても変更時には原則30日前に届け出る必要があったりと、供給量や価格設定の面では柔軟な対応が困難でした。
これに対し、高速ツアーバスは、旅行業法に基づくパック旅行商品であり、旅行会社がツアーを企画し、貸切バス事業者にその運行を委託するというものです。
道路運送法による許可の対象外であるため、各社で運行ダイヤや価格設定が柔軟に行える一方で、停留所設置の義務がないなど安全面には課題が山積みとされてきました。
今回の事故では、ここ数年の価格競争の激化に加え、仲介業者による手数料の差し引きで更に人件費や安全整備に対する経費を圧迫していたことが、大きな要因の一つとして指摘されています。
新制度移行と各業界への影響
こうした問題点から、国土交通省が新たに設計した新高速乗合バス制度では、高速乗合バスと高速ツアーバスを一本化し、仲介業者の介在を規制、また旅行会社が貸切バス事業者に委託する場合についても許可の取得を奨励しています。
一方で、同省は高速ツアーバスが行ってきた柔軟な供給調整・価格設定は長所と評価し、既に7月31日に発表した国土交通省令では、軽微な料金変更の事前届出期間を変更前30日から7日まで短縮することを認めました。
新制度への移行は1年以内を目標としており、今後徐々に周辺省令等が改正され具体化することが予想されます。
しかし、これにより事業運営の大幅な見直しを余儀なくされる事業者の続出も懸念されていることもあり、制度が確立するまでにはまだまだ波乱がありそうです。

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