2分の1損金保険
養老保険では保険期間満了時に死亡保険金と同額の満期保険金が支払われます。
契約者が法人、被保険者が役員及び従業員、満期保険金の受取人が法人、死亡保険金の受取人が被保険者の遺族となっている場合、保険料の半分が損金、残り半分が資産積立となるとの通達があります。
受取人が逆のケース
逆の、満期保険金の受取人が被保険者、死亡保険金の受取人が法人となっている場合については通達の定めがないのですが、実務的には同じ2分の1損金扱いとなっています。
ある会社では、この保険契約をして支払い保険料の半分を会社負担損金とし、残りを被保険者の個人負担としました。
満期保険金の受取の課税関係
このケースで、個人が受取った満期保険金は、一時所得として所得税・住民税の課税を受けることになります。
一時所得では「収入を得るために支出した金額」は必要経費となりますが、収入との直接的関連性も要求されています。
それで、必要経費の額は個人が負担した部分のみか、会社負担分も含めた保険料全額か、どちらでしょうか。
法令や通達の規定は
法令では、生命保険金が一時所得となる場合、保険料の「総額」を控除できるものと定めており、通達でも、使用者が負担した保険料で給与等として課税されなかったものは控除保険料の総額に含まれる、としています。
先のケースでの係争で、地方裁判所は、会社負担分を含めた保険料総額を必要経費とする、との納税者の主張を認めました。
税務署の反論、租税公平論の欠如
税務署は、一時所得の計算上控除されるのは、本人が負担した保険料と給与課税された保険料に限られ、本人が負担していない保険料は控除されないことになる、との解釈論を展開していました。
もともと法令通達に欠陥があり、法人処理への扱いに問題があるのですが、納税者勝訴には意味があるものの、租税負担の公平論からすると、判決には疑問があります。議論の場はいま高裁に移っています。
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