給与が増加した場合に税額控除を受けることができる所得拡大促進税制について、改正措置法通達で3つの点が追加されています。
① 給与等の範囲(措通42の12の4-1の2 新設)
本制度の対象となる給与等とは、所得税法第28条第1項に規定する給与等をいいますが、例えば、賃金台帳に記載された支給額(所得税法上課税されない通勤手当等の額を含みます)のみを対象として本制度の「国内雇用者に対する給与等の支給額」を計算するなど、合理的な方法により継続して給与等の額を計算している場合には、この計算を認めることを明らかにしています。
つまり、会社の給与システムなどで、非課税の通勤定期代や残業食事代などを含めて抽出されている場合も、恣意的に調整されていなければ、合理的な方法として認められます。
② 資産の取得価額に算入された給与等(措通42の12の4-4 新設)
本制度の「国内雇用者に対する給与等の支給額」は、所得金額の計算上損金の額に算入されるものが対象となりますが、例えば、自己の製造等に係る棚卸資産の取得価額に算入された給与等の額や自己の製作に係るソフトウエアの取得価額に算入された給与等の額について、法人が継続してその給与等を支給した日の属する事業年度の国内雇用者に対する給与等の支給額に含めることとしている場合には、その計算を認めることを明らかにしています。
期末時点で損金に算入されず、棚卸資産、未成工事支出金、自社作成ソフトウエアなどに含まれる人件費の額も、継続適用を要件に、支出日基準により給与等支給額を計算することができます。
③ 継続雇用制度対象者の判定(措通42の12の4-5 新設)
平均給与等支給額及び比較平均給与等支給額は、継続雇用制度対象者に対して支給した給与等の額を除いて計算しますが、法人が、同一の者に対する継続雇用前の職務に対する給与等の額と継続雇用後の職務に対する給与等の額とを同一の日に合計して支給している場合において、継続してその合計額を継続雇用制度対象者に対して支給した給与等の額としているときには、この額を認めることを明らかにしています。
継続雇用制度対象者とは、定年に達した人を引き続き雇用する「継続雇用制度」の対象者をいいます。
例えば、給与の締め日が月末締め以外の場合、継続雇用制度を適用した者の最初の給与には、定年退職前の給与(平均給与等支給額等の対象)と定年退職後の給与(対象外)が混在することになり、事業年度末に定年となった場合、判定上不利にはたらくことがあります。
今回の改正では、判定上不利に働く場合において、継続適用を要件に、同一者に対して同一日に合計額を支給している場合、その全額を対象外の給与として平均給与等支給額等を算定することを認めています。

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