社会保険未加入企業に厳しい減点
今年5月1日、建設業法施行規則及び関連告示が改正され、7月1日より経営事項審査において新しい審査基準が適用されることとなりました。
経営事項審査とは、財務状況や規模等からその建設事業者の経営状態を審査する制度で、公共工事の入札に参加する際には必ず事前に受けておかなければならないものです。
この審査において、社会保険の加入状況について、これまでは
①雇用保険に加入しているか
②健康保険及び厚生年金保険に加入しているか
の2項目に分けて審査していましたが、新基準では
①雇用保険に加入しているか
②健康保険に加入しているか
③厚生年金に加入しているか
の3項目に細分化され、更に未加入の場合の減点幅がこれまでの30点から新基準では40点に拡大されます。
また、11月1日からは建設業許可の許可・更新申請時に、保険加入状況を記載した書類を新たな添付書類として追加される予定であり、今後社会保険の加入が建設事業者に一層求められる模様です。
社会保険加入促進の動きと各諸官庁の関係
社会保険についてはここ数年に渡り、厚生労働省による加入適用を進めていましたが、本年度はより一層強化する予定です。
同省は今年5月、厚生年金へ加入義務があるにも関わらず加入せず、保険料を払わない悪質な企業の事業主を厚生年金保険法違反容疑で警察に告発・公表することを決めたことを発表しました。
社会保険の未加入事業所総数は近年、10万前後で推移しているとされ、これに対し同省は3年以内に半減させるとの方針を打ち出しています。
こうした中で今回改正された建設業法施行規則ですが、加入率促進の動きは建設業許可事業者に限らず、他の許認可等を管轄する諸官庁にも見られます。
外国人の在留を管理する入国管理局では、加入促進のため平成22年4月1日より在留資格の変更や在留期間更新の際には申請時に窓口で保険証の提示を求めるようガイドラインを公表しています。
現在、同ガイドラインでは、保険証を提示できないことのみで在留資格の変更や期間更新を不許可にすることはないとしていますが、厚生労働省がこうした方針を強化した以上、影響力が増すことも否定はできません。
今後はこのような各諸官庁を媒体とし更なる取締りを進める方向にあるのか、意識をしたいところです。

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