今年も年末調整の時期がやってきましたが、年末調整は年末だけに実施されるわけではありません。
最近では、中小企業でも海外子会社の設立、海外企業との合弁があり、従業員の海外勤務の機会が格段に増加しています。
年の中途で1年以上の予定での海外勤務にもなると所得税の取扱が様変わりします。
居住者と非居住者
居住者とは、国内に住所を有しているか、又は現在まで引き続いて1年以上国内に居所を有する個人をいい、非居住者とは居住者以外の個人をいいます。
居住者は全世界で得た所得に対して所得税が課され、非居住者は国内源泉の所得についてのみ課税されます。
以上が、我が国の所得税の取扱いです。
年の中途で年末調整
年の中途で1年以上の予定で海外勤務となった場合、その者は居住者から非居住者になりますので、その年初から海外勤務となる日までの期間について、所得税の清算が必要になります。
すなわち、収入が給料だけの場合には、会社は年末調整し、居住者であった期間の所得税を確定しなければなりません。
通常、年末調整は12月に実施しますが、年の中途で非居住者となる場合には、その時点で実施します。
ちなみに、年末調整の仕方は、通常、12月に実施する内容と同じであり、準備すべき資料、生命保険控除証明書や地震保険控除証明書、扶養控除の異動などを含めて勤務先に提出します。
また、勤務先からの給料以外の他に不動産所得などがある場合には、居住者期間の所得を清算するため、年末調整済みの給与所得と不動産所得を合算、出国時までに確定申告する必要があります。
なお、出国とは、納税管理人を定めないで国内に住所及び居所を有しなくなることを言います。
従って、給料以外に所得のある人は、納税管理人を定めれば、給与については年末調整をした上で、年の中途であっても、確定申告は翌年2月16日から3月15日まですればよいことになります。
住民税の課税
住民税は、その年の1月1日における国内の住所地及び居所地の市区町村が課税します。
従って、海外勤務となった年の翌年1月1日には国内に住所等を有していませんので住民税の課税はないことになります。

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