財務副大臣の発言から
予算委員会で、財務副大臣が「所得再分配機能をどう取り戻すかが重要課題」とし、施策案として
①所得税・相続税の最高税率を上げる
②富裕税という考え方もある
③マチマチな税率構造を見直す
を挙げていました。
①は今、審議中の一体改革案の中ですでに上程されています。
②と③は、多分、財務省が腹案として、すでに準備しているものなのでしょう。
富裕税をめぐる国際状況
現在、富裕税が施行されている国は、フランス、スイス、オランダ、ノルウェー、インドなどですが、過去、富裕税を施行させた経験のある国は日本を始めたくさんあります。
最近、ポルトガルが富裕税を復活させたというニュースがありました。
いずれも税率は、0.2パーセントから3パーセントといった低率で、所得税の補完税としての役割を持たされています。
日本の富裕税導入と廃止の歴史
日本では、昭和22年(1947)に所得税の最高税率は85%になり、昭和24年(1949)のシャウプ勧告は、このように高い税率は勤労意欲にマイナスであるとして、所得税の最高税率を下げ、その補完税として富裕税を導入するように勧告しました。
その結果、昭和25年(1950)に所得税の最高税率が55%に抑えられ、同時に0.5~3%の累進税率で富裕税が導入されました。
しかし、富裕税は税収総額が多くなく、資産の包括的把握に税務執行上の困難を来たしたため、昭和28年(1953)に廃止され、代わりに所得税の最高税率が65%に上げ直されました。
国外財産調書制度創設につづき、財産債務明細書の制度強化が図られるとすると、日本でも富裕税が復活するかもしれません。
税率構造多段階化という増税テクニック
所得税や相続税の税率に3%、5%、10%刻みのところがあるので、刻み幅を統一する、という名目による案もありそうです。
もし税率を1%刻みにしたら、10%税率の人の中には19%、20%税率の人の中には29%の税率になる人が出てきます。
最高税率のこれ以上のアップは国際比較の上からして困難そうですが、税収の増加策としての税率構造の多段階化は極めて有効だと思われます。

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