平成24年度の税制改正においても、「基礎控除を4割圧縮(基礎控除5,000万円から3,000万円、法定相続人1人当たり1,000万円から600万円)するとともに最高税率を引き上げる」という相続税の増税案は見送られました。
結果、「社会保障と税の一体改革」では、平成27年1月1日からの実施を目指すとなっています。
この増税案の根拠ですが、富の再分配、格差是正といった大義もありますが、1つには、バブル崩壊後の地価下落が止まらず相続財産の価額が相対的に小さくなったことも根拠であると言われています。
地価公示価格の推移
財務省の資料によると、3大都市圏の商業地の公示地価は、昭和58年の価格水準を100とした場合、バブル真っ只中の平成元年には230.3、最盛期の平成3年には336.8まで跳ね上がっていますが、平成22年には79.2まで下落しています。
基礎控除の推移
一方、相続税の基礎控除ですが、昭和50年に改正され、基礎控除額2,000万円、法定相続人1人当たり400万円となりました。
この数値は、バブル初期の昭和62年まで続きました。
昭和63年の改正では、基礎控除4,000万円、法定相続人1人当たり800万円に引上げられ、さらに、地価高騰を追いかけるように、平成4年には基礎控除4,800万円、法定相続人1人当たり950万円までに引上げられ、そして、平成6年には、現行の基礎控除5,000万円、法定相続人1人当たり1,000万円に改正されました。
税率適用区分と税率構造
平成4年の改正では、相続税の税率適用区分の幅が1.8倍程度拡大され、平成6年には、税率適用区分の幅の拡大のみならず税率の刻みも13段階から9段階に削減される改正が行われました。
そして、平成15年改正で税率の刻みを6段階に、最高税率は50%に引き下げられ、現在に至っています。
財務省の思惑
財務省としては、基礎控除の水準について、物価・地価水準が現在と同等であった時期、概ね昭和50年代半ばに適用されていた水準と同等になるよう、「あるべき水準に再設定したい」との思惑があるのでしょう。
近年、亡くなれた人のうち、相続税の課税対象になる人は4%に過ぎないと言われていますが、それでも25人に1人が相続税の課税対象になっています。
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