合併の中心的な議論は、適格要件を満たすか、つまり、簿価引継ぎにより被合併会社(消滅会社)及び被合併会社の株主に課税関係が生じないよう所定の要件を充足しているかどうか、また、欠
損金の繰越控除及び特定資産の譲渡等損失の損金算入のための要件を具備しているかどうかです。
同族会社グループ内の合併にあっては、同一の者、つまり、親族関係のある一族で100%保有され、その保有期間も長期にわたる兄弟会社・関係会社間の合併が大部分ですので、多くの場合、適格要件及び欠損金の繰越控除並びに特定資産の譲渡等損失の損金算入に関する要件(以下、適格要件等)は満たされていると思われます。
合併比率の算定
適格要件等は、満たされているとしても、合併比率に不合理な差異がある場合には、株主である親族間で「みなし贈与」といった課税関係が生じる場合もあります。
合併比率とは、一般的に被合併会社の株式1株に対して合併会社の株式を何株割り当てるかの割合です。
合併比率の算定にあたっては、被合併会社の1株当たりの価値と合併会社の1株当たりの価値の算定は不可欠です。
この1株当たりの価値の算定ですが、株主が個人のみであれば、相続税法上の株式評価方法で問題ないと思いますが、法人株主等が存在する場合には、いわゆる子会社に該当するものとして、土地等及び上場有価証券があればその時の時価で、また、評価益に対する法人税相当額を控除しない、といった評価になるものと思われます。
1株に満たない端数株の対応
合併比率を算定して、その比率で合併会社の株式を割り当てると、多くの場合、端株(1株未満の端数)が生じてしまいます。
この端株を売却等でその代金を株主に交付することは、非上場株式ではあまりなく、一般的には、株式分割、併合の手続きが用いられます。
例えば、被合併会社の発行済株式100株、株主Aは79株、Bは21株を保有、合併比率は、「被合併会社の株式1株につき合併会社の株式1.5株」とします。
この場合、株主Aには118.5株、Bには31.5株が割り当てられ、端株が生じてしまいます。
これを回避する方法の1つとして、合併会社の1株を10株に分割することで、合併比率が「1対15」になり、端株を生じさせなくすることができます。
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