相続税額の取得費加算の改正
平成27年から相続税額の取得費加算の特例制度が改正されています。
この制度は、相続又は遺贈により財産を取得した方に相続税が生じている場合において、その相続税の申告期限から3年以内(亡くなられた日から考えると3年10か月以内)に、相続財産を譲渡したときには、その譲渡所得の控除する取得費に、その譲渡した財産に対応する相続税額を加算し、譲渡所得の課税を軽減するものです。
譲渡所得の計算式
譲渡所得=譲渡収入-(取得費+取得費加算額+譲渡費用)
平成26年までの相続により取得した財産を譲渡した場合には、譲渡した資産を「土地等」と「それ以外」に分けて計算し、「土地等」の改正前の計算式では、譲渡していない土地に対応する相続税相当額も取得費に加算されるため、土地を多く相続して、その一部を譲渡したものは取得費加算額が著しく有利になると指摘されていました。
平成26年12月31日までの相続の場合
たとえば、次のような事例の場合、改正前の計算では次のようになります。
(事例)
相続税の課税価格の合計額:6億円
債務控除:なし
譲渡した者の相続税額:56,600,000円
相続財産のうち土地A:0.6億円
相続財産のうち土地B:2.4億円
で土地Aのみを譲渡したとしましょう。
(平成26年12月末日以前の相続)
相続税額56,600,000×すべての土地の評価額3億円/課税価格の合計額6億円=28,300,000円(取得費加算額)
平成27年1月からの相続の場合
同じ事例で平成27年1月1日以後の相続の場合には次のように計算されます。
(平成27年1月1日以後の相続)
相続税額56,600,000×譲渡した土地の評価額0.6億円/課税価格の合計額6億円=5,660,000円(取得費加算額)
改正前の数字とは、取得加算額がかなり変わることがわかります。
平成27年に開始した相続については、ご注意ください。

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