「賃金制度」には社員の意欲を引き出すメッセージ性があることを既に述べましたが、その機能を生かすためには賃金制度と不可分に結びついている五つの人事制度をパッケージとして整備、運用しなければなりません。
人事賃金制度のパッケージとは
その要素機能は次のように構成、活用されます。
①賃金制度(賃金表)
②処遇制度(賃金制度の前提となる「部長・課長・係長などの職制」や「社内等級制度」)
③評価制度(業績・発揮した能力・意欲などに応じて賃金に差をつけたり、能力開発のニーズをつかむための評価基準・評価方法・評価シートなど)
④人材育成制度(ニーズに応じて教育機会や、長期的に人材育成を図る人事異動を行う仕組みと運用)
⑤人材配置・活用制度(人材育成の状況を見ながら、誰をどのポジションに配置し、活用するか「定期異動」などの制度と運用)
このように人事賃金制度は①~⑤が相互に関係し合って社員の意欲を継続的に引き出すことができます。
経営者の留意点
「人事賃金制度」は直接的には社員を評価し、賃金・昇進などによって報いる機能を持っていますが、それは同時に会社のビジョン・戦略・経営計画の実現を図る機能を持っているものです。
このため、多くの企業で、「評価制度」の一環として「目標管理制度」を使い、中期(3~5年)・短期(1年)の経営目標達成にも役立てています。
アジア等において新興国の経済伸長が著しい現在、人材活用も広く日本国外にも目を向ける必要が生じています。
特に業種によって海外の現地進出が経営課題となっている場合は、企業の理念を理解し、現地の事情に通じた現地人のリーダー人材を育成することが重要な課題になり、そのための「人事賃金制度パッケージ」が大切な役割を担うことになります。
国内、海外のビジネス展開を問わず「人事賃金制度」の構築・運用が企業競争力に重要な影響を与えることになるでしょう。

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