国民の不断努力義務
憲法は12条で、国民に不断の努力で自由や権利を保持すべきことを要求しています。
自由や権利はタナボタで与えられるものではない、と言っているわけです。
不断の努力とは
憲法で刑罰法規の不遡及を定めていることに絡む事件がありました。
官報で公布され即施行となった新規定を、その「犯行」時刻の早朝にその地域の誰もがまだ読むことができなくても、東京の官報販売所で購入可能になっていれば、法律は公布施行されたことになるから、遡及適用に当たらず、有罪との最高裁判決となりました。
法の不知はこれを許さずとの原則が、法の有無を含めて、絶対的な擬制の上に成り立っていることを明らかにした過酷な判決です。
しかし、この裁判の結果、刑罰法規について、公布即施行とするものはその後なくなった、と言われています。
不断の努力がなかった税法分野
税は法律によらなければ課せられないことに憲法でなっているのに、従来は国民の反発がなかったので、遡及立法し放題でした。
最近は、何ケ月もの先に遡及適用する立法を憲法違反とする訴訟が持ち上がって、やっと不断の努力が現出してきました。
裁判が結果として国民に味方してくれなかったとしても、こういう訴訟が、国会をして遡及立法を意識的に避けるようにさせ、国政を変えるはずです。
細部に宿る
2008年の改正税法は4月30日16時44分衆議院での再可決により法律となりました。
この後、法律の公布のために法律に法律番号が付けられ(法律第23号ほか)主任の国務大臣の署名及び内閣総理大臣が連署し、閣議決定を経た上天皇に上奏され、御名御璽を賜ったのち官報に掲載されることによって公布は行われます。
出された官報は平成20年4月30日付(特別号外第9号)でした。
この日の官報販売所の5時半閉館に間に合うことだったのでしょうか?疑問です。
間に合ったとしても、午前零時からの適用は明らかに遡及立法です。
こういう細部のところに、行政と立法の側の憲法無視体質の露呈を見ることができます。

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