会社解散等の清算所得課税の廃止
平成22年度税制改正により、法人税の清算所得課税は廃止され、通常の各事業年度の所得課税に移行することになりました。
課税所得の計算構造については、期限切れ欠損金の損金算入や完全親会社への青色欠損金の引継ぎ等の重要改正がありました。
みなし事業年度はどうなったか
なお、解散に伴うみなし事業年度の規定には変更はありませんでした。
変更はなかったものの、みなし事業年度については、 旧商法の改正と会社法の立法に際して、税法の規定は表面上何も変わらなかったのに、会社法が変わったことにより、税法のみなし事業年度規定には実質的に大きな変更があったので、ここで復習しておきます。
旧商法と法人税の旧解釈
旧商法では、会社が解散等によって清算した場合の営業年度等に関する規定は特になく、「解散後においても会社定款等の定めの営業年度等による」と解釈されており、税法上もこれを承けて、解散によって、通常の事業年度が分断された場合、その事業年度開始の日から解散の日までの期間及び、解散の日の翌日からその事業年度の終了の日までの期間が、それぞれみなし事業年度となると規定されていました。
新会社法と法人税の新解釈
これに対して、新会社法では「株式会社が解散して清算が開始する場合には、解散の日の翌日から一年の期間を清算事務年度とする」という新しい規定を設けました。
そのため、清算事務年度に入った場合には、会社の定款がどのような定めをしていたかとは無関係に、清算日の翌日が事業年度の期首日となり、毎年これが繰り返されることになりました。
税法の条文は変更されませんでしたが、その事業年度開始の日から解散の日までの期間についてのみなし事業年度は従来と変わらないものの「解散の日の翌日からその事業年度の終了の日までの期間」の意味がまったく変わってしまい、みなし事業年度ではなく、本来の事業年度となりました。
「解散の日の翌日からその事業年度の終了の日までの期間」は新会社法でそのまま1年と定められたからです。
解散の日は適切に決めよう
この清算事業年度は定款ではなく、法律の規定に依っているので、事業年度の変更をすることもできません。長期の清算期間を予定するときには、区切りのよい日を清算日とすることも肝要です。

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