譲渡損であってこその損益通算
個人がゴルフ会員権を譲渡した場合の所得は譲渡所得となります。
そしてこの譲渡による損失は他の所得との損益通算の対象になります。
しかしゴルフクラブが倒産したり、民事再生計画等により預託金の一部または全部が切り捨てられた場合、その失われた預託金額部分は譲渡にあたらないため、損益通算の対象にもなりません。
ゴルフクラブの退会等で預託金の償還によって、その会員権の取得価額に対して生じた損失も同様です。
譲渡による損失であることが損益通算の条件であることから、会員権を2万円で買い取ります、ただし手数料5万円です、という業者の手法が存在しえるのです。
株式も譲渡損でなければ
個人の株式の譲渡による所得は、「申告分離課税」という課税方式になっています。
そこで発生した譲渡損失は3年間の繰越控除が認められています。
株式の保有による損失もゴルフ会員権の場合と類似の様相を呈します。
会社が政策的に株式の上場をやめる場合を除き、上場が廃止される株式は、通常無価値になるか、価値があっても売買ができなくなります。
売買が成立しなければ譲渡損でなく、したがって3年間の繰越控除も適用できないということになります。
上場廃止予定銘柄を1円で売買
上場が廃止される銘柄は、会社更生法適用申請等の後すぐに上場廃止となるわけではなく、一定期間売買される機会が設けられます(整理ポストへの割当、整理銘柄に指定)。
このような銘柄は、1円売気配となり、売買がなかなか成立しなくなりますが、この一定期間を利用して売買を成立さるという証券業者もあるようです。
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