「生計を一(いつ)にする」の意味は?
昭和37年判決で所得税法(56条)にいう「生計を一にする」の意義を「家族全員同じ釜の飯を食うこと」と説明され、昭和51年判決において、「日常生活の糧を共通にしていること」を言うとしています。
「生計を一にする」親族に該当するか否かによって、例えば相続税法において小規模宅地等の特例(評価減)を受けられるか、また所得税法において専従者給与として必要経費に算入できるか(所得税法56条)など、その取り扱いは大きく異なります。
離婚した父と母の両方が扶養控除等申告書を各々の会社に提出した場合は?
離婚後、婚姻費用と養育費を負担している父と、日常生活を共にしている母とがそれぞれの勤務先に子どもを扶養親族とする申告書を提出していた場合、どちらの扶養親族になるのか争われた事例(裁決)があります。
審判所は、父と母のどちらとも生計を一にしていたと言えますが、母親の方が扶養控除等申告書を元夫(父)よりも先に提出していたことに鑑み、母の扶養親族と判断しました。(H19.12/27裁決)
同居特別障害者の35万円加算が認められない場合とは?(生計一だけではダメ?)
租税特別措置法において、納税者の扶養親族(生計一)で、かつ在宅の(同居を常況としている)特別障害者である場合に、扶養控除の額に35万円を加算した金額を所得控除の額とすると規定されています(措置法41の16)。
しかし、福祉施設や介護施設に入所している者(扶養親族)について、措置法上生計を一にする親族等と「同居を常況としている」者に該当しないとして、この35万円の加算が認められなかった判決(さいたま地裁H15.11/26)があります。
ただし、同居以外の特別障害者の40万円の所得控除はできます。
実質的な判断は慎重に
「お財布が一緒」であっても、必ずしも「生計を一にする」親族に該当するとはいえず、同居しているか、別居しているかだけでなく、実質的な判断は慎重にならざるを得ないでしょう。

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