日本の産業社会が労働集約型から知識集約型へ移行するに伴って「成果主義」の評価が日本企業に導入されましたが、目標管理制度などで実際に適用して見ると、多くの問題が発生し、一時は混乱状態に陥ったものの、今日では一段落したようです。
「成果主義」評価の問題解決状況
発生した問題点と今日の解決状況を整理しますと、次の通りです。
問題点の要約
①外部環境の変化や、会社の方針変更などにより、当初設定した目標達成の困難性が変化し、成果が公正性・納得性をもって評価できない。
②達成度評価を過度に意識し、達成が容易な目標設定(目標の矮小化)に陥る。
③個人の成果の評価を高めるため、ノウハウの独り占めなど、個人主義が横行し、チームワークを阻害する。
④評価の対象にならないプロセス努力が軽視され、人材育成がうまくいかない。
今日の問題解決状況
それらの問題は、多くの企業による改善努力によって、次のように解決されつつあります。
①成果の評価は外部環境の変化などを考慮して、結果が出た時点で、困難性の実態を踏まえて行なう。
②目標の矮小化を防ぐため、目標設定時にチャレンジ度を設定する。
③成果は外部環境変化を考慮に入れ、チャレンジ度と達成度を組み合わせて評価する。(これは、外部環境変化などによって、目標達成の困難度・チャレンジ度が変化し、達成度評価の意味も変化するため。)
④個人主義の横行など、チームワークを阻害する目標管理制度の運用を排除するため、チーム目標を設定し、協働の成果を評価する。
⑤成果に繋がったプロセスでの行動を成果に含めて評価する。
経営者・管理者の留意点
このように「成果主義」の評価は適正な方向へ向かって改善されつつあると言えますが、特に「チームワークを重視する目標設定と達成度評価」の問題など、なお不断の改善努力が必要な事項があります。
チームワークの公正性・納得性を持つ評価は「チーム全員の協働による成果として、メンバー全員が同じ評価を受ける部分」と「プロセスで成果に結びついた行動により成果に貢献したメンバー個人の評価を的確に行なう部分」の評価割合・基準にあると考えられ、引き続き努力したいものです。

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