「記載された金額」
「記載された金額を限度とする」との税法規定は、所得税法の外国税額控除、地方税法の利子割額控除、法人税法の受取配当等益金不算入、寄附金損金不算入、所得税額控除、外国税額控除などにあります。
この記載金額限度の意味は、計算ミス、転記ミス、記載漏れなどどんな理由があったとしても、当初の確定申告書において書いてしまった金額が適用される金額の上限である、と説明されていたものです。
「された」は「すべき」の新解釈
この説明を打ち破る判決が昨年の5月に福岡高裁で出され、今年3月最高裁で支持されました。
タイ語で記載された文章の意味を誤認し、転記ミスをしたため、外国税額控除の適用金額が過少となり、納付すべき法人税額が過大となった事案です。
判決の解釈による記載金額限度の意味は、ミスや漏れや計算誤りなどがなかったとしたら記載すべきであったろう正しい金額のことであるとしました。
さらに再び「された」は「すべき」
そして、この7月10日、今度は所得税額控除について、最高裁は高裁の納税者敗訴の判決を覆し、再び「された」は「すべき」の判決を出しました。
この判決では、前回よりもさらに踏み込んで、利子配当に係る所得税額の全部又は一部について損金算入処理をする積極的な意思が確認できない以上、申告書に所得税額を過少に記載してしまったとしても、所得税額の本来の全部について税額控除する意思であったことは明らかである、として納税者を支持しています。
例外的でなくなった「された」は「すべき」
控除額の記載がないときの税務署長による裁量救済規定との均衡を図る意味で、記載金額と計算明細書の間に明らかな齟齬があり,転記ミスや計算ミスが明白なときにのみ,例外的に更正の請求が許される、というのが前回までの判断でした。
今回の事例では、例外と扱えるやむを得ない事情が認められなかったにも拘わらず、「記載された金額」を「記載すべきであった金額」に訂正することを容認しました。
これで、「された」は「すべき」の流れは、ほぼ確定したと言えそうです。
記事を読まれた方又は第三者が当該業務日誌に記載されている情報などに基づいて被ったとされるいかなる損害についても、当法人およびその情報提供者は損害賠償その他一切の責任を負担致しません。
記事の内容についてのご質問はお問い合わせのページよりお願いいたします。
ご質問の内容によっては有料でのご対応、もしくはご返答いたしかねる場合がございますので、あらかじめご了承ください。