外食企業の実に約77%が外国人を雇用している昨今ですが、給与を支払う際、避けて通れないのが所得税の源泉徴収です。
アルバイト等で外国人留学生を雇用する場合、どこの国から来たかによって、源泉税の取扱いが異なります。
原 則
①国内に住所又は1年以上居所を有する者で、日本国籍を有せず、過去10年以内において国内に住所等を有していた期間の合計が5年以下である者は、日本国内で行ったアルバイトの給与等から税額表により源泉徴収されるほか、これ以外の所得で国内において支払われ、又は海外から送金された所得がある場合は確定申告が必要となります。
②日本国内に住所又は現在まで引き続き1年以上居所を有しない者は、日本国内で行ったアルバイトの給与等から20%源泉徴収されます。
③上記①②に該当しない者は、国内外すべての所得が課税対象とされます。
中国からの留学生は給与の源泉税免除
留学生(学校教育法第1条に規定する学校の児童、生徒又は学生に限ります。)等が受け取る報酬について、アメリカやインドなどとの租税条約では、海外からの送金についてのみ課税が免除されますが、中国との租税条約では、海外からの送金のほか、日本国内で行うアルバイトの給与等も免税とされています。各国との租税条約により内容が異なりますので、注意が必要です。
源泉税の免税措置を受けるためには
給与等の支払者を経由して「租税条約に関する届出書」を支払日の前日までにその給与等の支払者の所轄税務署長に提出することが必要です。
    
所得税法
(定義)
第2条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
3  居住者 国内に住所を有し、又は現在まで引き続いて一年以上居所を有する個人をいう。
4 非永住者 居住者のうち、日本の国籍を有しておらず、かつ、過去十年以内において国内に住所又は居所を有していた期間の合計が五年以下である個人をいう。
5  非居住者 居住者以外の個人をいう。
(納税義務者)
第5条 居住者は、この法律により、所得税を納める義務がある。
2  非居住者は、次に掲げる場合には、この法律により、所得税を納める義務がある。
①  第161条(国内源泉所得)に規定する国内源泉所得(次号において「国内源泉所得」という。)を有するとき(同号に掲げる場合を除く。)。
(課税所得の範囲)
第7条 所得税は、次の各号に掲げる者の区分に応じ当該各号に定める所得について課する。
1  非永住者以外の居住者 すべての所得
2 非永住者 第161条(国内源泉所得)に規定する国内源泉所得(以下この条において「国内源泉所得」という。)及びこれ以外の所得で国内において支払われ、又は国外から送金されたもの
3  非居住者 第164条第1項各号(非居住者に対する課税の方法)に掲げる非居住者の区分に応じそれぞれ同項各号及び同条第2項各号に掲げる国内源泉所得
(国内源泉所得)
第161条 この編において「国内源泉所得」とは、次に掲げるものをいう。
8 次に掲げる給与、報酬又は年金
イ 俸給、給料、賃金、歳費、賞与又はこれらの性質を有する給与その他人的役務の提供に対する報酬のうち、国内において行う勤務その他の人的役務の提供(内国法人の役員として国外において行う勤務その他の政令で定める人的役務の提供を含む。)に基因するもの
日米租税条約
第19条
教育又は訓練を受けることを主たる目的として一方の締約国内に滞在する学生又は事業修習者であって、現に他方の締約国の居住者であるもの又はその滞在の直前に他方の締約国の居住者であったものがその生計、教育又は訓練のために受け取る給付(当該一方の締約国外から支払われる給付に限る。)
については、当該一方の締約国において租税を免除する。この条に規定する租税の免除は、事業修習者については、当該一方の締約国において最初に訓練を開始した日から一年を超えない期間についてのみ適用する。
日印租税条約
第21条
専ら教育又は訓練を受けるため一方の締約国内に滞在する学生又は事業修習者であって、現に他方の締約国の居住者であるもの又はその滞在の直前に他方の締約国の居住者であったものがその生計、教育又は訓練のために受け取る給付については、当該一方の締約国の租税を免除する。ただし、当該給付が当該一方の締約国外から支払われるものである場合に限る。
日中租税協定
第21条
 専ら教育若しくは訓練を受けるため又は特別の技術的経験を習得するため一方の締約国内に滞在する学生、事業修習者又は研修員であって、現に他方の締約国の居住者であるもの又はその滞在の直前に他方の締約国の居住者であったものがその生計、教育又は訓練のために受け取る給付又は所得については、当該一方の締約国の租税を免除する。
※「租税条約に関する届出書」については、「租税条約の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律の施行に関する省令」第8条を参照してください。
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S44/S44F03402011001.html

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