3種類の租税に関する条約

文書による国家間の合意が条約であり、租税に関して国家間で締結されているものには、①租税条約、②情報交換協定、③税務行政執行共助条約があります。

①租税条約は、正式名称が「所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府と〇〇国政府との間の条約(協定)」とされているものであり、2018年9月1日現在、58本、69か国・地域と結ばれています。

②情報交換協定は、「租税に関する情報交換を主たる内容とする条約」で、11本、11か国・地域と結ばれています。

③税務行政執行共助条約は、各国間で情報の交換や徴収における支援など、相互の行政支援に関する取決めで、締約国は我が国を除いて90か国(適用拡張により107か国・地域)です。

それぞれの条約の目的と使われ方

①租税条約は、課税関係の安定(法的安定性の確保)、二重課税の除去、脱税及び租税回避等への対応を通じ、二国間の健全な投資・経済交流の促進に資するものです。 

例えば、外国にソフトウェアなどの著作権の使用料を払ったりする際に、日本の所得税の適用では20.42%源泉徴収しなければならないところ、「租税条約に関する届出書」の提出をすることで、10%に軽減されたり、ゼロ%に免除されたりして、経済交流の促進に寄与します。

②情報交換協定は、いわゆるタックスヘイブン地からも情報提供を受けることで、不当に課税逃れをしているかもしれない人たちのお金の情報を収集できます。

③税務行政執行共助条約は、自国で納税をしなかった者から相手先国で徴収を支援してもらうことを目的としたものです。

初の大型徴収の運用

①と②はお互いにメリットのあるものですが、③については、「自国の労働力を使って、わざわざ相手先の国の税金徴収はしないだろう」と思われてきました。

しかし今回、豪州の税務当局の協力を得て、「延滞金を含めて豪州人から約8億円を徴収した」との報道がありました。

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