会社が事業をやめる場合には、「廃業」する方法と、「休業」状態にする方法があります。
廃業するとなると、解散登記や清算結了登記をしなければなりませんので、法務局への登記費用が発生します。
財産の売却や債務の返済などの精算手続きが必要になりますし、税務申告の手続きも必要となります。
このように、「廃業」は手間も費用もかなりの負担になりますので、一定期間の事業休止や、将来的に事業を再開する見込みがある場合などには、「休業」状態の方がメリットが大きいといえます。
① 会社の休業届
会社が休業することになった場合、税務署、都道府県税事務所、市町村それぞれに「休業中である旨の届出」を行っておいた方がよいでしょう。
休業届専用の書類はないのですが、「異動届出書」に休業する旨を記入し、提出します。
また、従業員がいた場合は、「給与支払事務所等の廃止届出書」が必要です。
さらに、社会保険加入事務所なら「健康保険・厚生年金保険適用事業所全喪届」を提出しなければなりません。
廃業と違って休業は「会社の事業が停止している」状態であって、会社がなくなった訳ではありませんので、法人登記はそのまま残ります。
② 休業中の税務申告
休業届を提出していても会社は存続しているので、これまでと同様に税務申告の義務が生じます。
法人税については所得がないため納付もありませんが、地方法人税の均等割は納税の必要が出てきます。
「均等割」は、基本的には所得がゼロでも、赤字決算でも納めなければなりませんが、休業届を提出し、事前に都税事務所や市役所などに申し出ておくと、「均等割」が減免または免除される場合があります。
均等割の扱いは各自治体によって、対応に差がありますので、ご注意ください。
青色申告の適用を受けている会社は、2期連続で期限内に申告しなかった場合、青色申告を取り消されてしまい、青色繰越欠損金の適用も受けられなくなってしまいます。
特に事業再開を考えている場合には、忘れず期限内に申告しましょう。
③ 役員変更登記
休業中であっても、会社は存続するので、役員の任期満了に伴う役員変更の登記手続きが必要になります。
何年も登記せず放っておくと過料を科されたり、法務局の職権で解散、つまり廃業と登記されたりするリスクもあります。
事業をやめる場合、廃業と休業、どちらの手続きをとるのかは、今後どうしたいかをよく検討したうえで慎重に選択する必要があります。
「休業」を選択した場合には、「会社が存続している」ということ、「休業中にも必要な届出や手続きがある」ということを忘れないようにしましょう。
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